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“1強状態”になったサッカー日本代表で”成長を感じられない”要素…「選手のポテンシャルを考えると、選択肢が少なすぎる」

「FIFAランキング」の順位を伸ばしておきたい理由

 気を抜くことなく戦い出場権の獲得を確定させなければならないが、これまでよりも本大会を見据えた戦いに比重をシフトしなければならない。  残りを3分1敗でも出場権を得られると説明したが、来年11月まではできるだけ勝っておきたいところだ。本大会の抽選会は来年末頃に行われる予定だが、直前のFIFAランキングを基にシードが決まり、抽選時にポッド分けされる。次大会から本大会の出場国枠が32カ国から48カ国に増え、グループリーグも4チームずつ8組から4チームずつ12組になった。  すでに開催国の3カ国は組分けされており、メキシコがグループA、カナダがグループB、アメリカがグループDに入ることが決まっている。この開催国シードを除けば、あと9カ国が第1シードとなりポッド1に入るのだが、現在最新の10月24日付FIFAランキングでいえばアルゼンチン、フランス、スペイン、イングランド、ブラジル、ベルギー、ポルトガル、オランダ、イタリアとなる。現在の日本は15位なので、第2シードとなりポッド2に分けられることが濃厚といえる。また、開催国のメキシコが16位、アメリカが18位なので、各国が順当に予選を突破すればポッド2は23位までの国が入る。  今の日本が約1年で8つも順位を落とすことは考えにくいので、ポッド2以上はほぼ確定しているといってもいい。前回のワールドカップ以後2年間で順位を8つ上げている日本だが、残りの約1年間で9位以内となるのは難しいだろう。ただ、前回大会では当時のFIFAランキングが6位だったイタリアが予選で敗退した。それによってシード国は繰り上げされたのだが、今回もそういったことが起こり得る可能性はあるので、ひとつでも順位を伸ばしておきたいところだ。  前回大会でいえば、順位が2つ低かったがためにポッド3となり、スペインやドイツと同組となった。結果的に両チームに勝利して決勝トーナメント進出を果たしているが、やはりグループステージから優勝経験国と戦うのは避けたいのが、誰しもの本音だろう。

層が薄い「左サイドバック」を発掘する必要が

 気を抜かずに勝たなければならないなかでも、本大会を見据えると戦力の拡充も図りたい。  冨安健洋、伊藤洋輝に加えて谷口彰悟も負傷し、今回は瀬戸歩夢、板倉滉、町田浩樹といった急造の最終ラインで挑んだが、チャレンジ&カバーなど基本的な守備の連係でミスがありピンチを招いていた。この点においては、いつ負傷者が出るかわからないので、誰が出ても最低限の質を担保できるようにしておかなければならない。  今の日本の強みには異なるシステムを高水準に使い分けられることが挙げられるのだが、こちらも負傷者続出による左サイドバック不在のため停滞している状況だ。これまで日本代表で左サイドバックを経験してきた選手に負傷が続出している不運はあるものの、このポジションの層の薄さは長年の課題。これまでは長友佑都の獅子奮迅の活躍によって、この課題は封印されていたが、点取り屋といわれるストライカーと同様に左サイドバックも枯渇しており、ワールドカップ以後の将来を見据えても発掘・育成に取り組まなければならない。
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選択肢が少なすぎる「攻撃面の戦術」
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スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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