仕事

「早期退職して大後悔…」肩書と給与は上がった55歳男性、半年後に待ち構えていた“悲劇”

最初の半年は夢のようだった

 今までは出世にあまり恵まれなかった田村さん。それが転職後は役職付きの営業部長というかなりのレベルアップに戸惑いも感じながら、今までには味わえなかった優越感や満足感に包まれた夢のような日々を過ごしていました。 「最初の1か月は、挨拶回りや引継ぎなどでバタバタしていましたが、徐々にそれが落ち着き出すと、以前のような四方八方に営業車で走り回る日常ではなくなり、一日中デスクで部下に指示を出したり、社内会議に顔を出したりと、全く仕事のスタイルが変わりました。給与も大幅に増えたので、今までできなかった家族孝行も実現して、正直夢のような日々でした」  転職に満足していた田村さんですが、半年くらい経過した頃から、なんとなく社内の異変を感じるようになったといいます。予感は的中していたようでした。ある日出社すると社内が騒然としていたそうです。 「いつもは静かなオフィスなのですが、その日は皆席を離れ、心配した面持ちで会議室の方へ視線を送っていました。私も何が起こっているのかがわからず、とりあえず会議室のドアを開けたら、そこを数人の男性が占拠していました。彼らは開口一番『田村取締役ですね?』とだけ言い、私に今起こっている状況を説明しはじめました」

嫌な予感が的中、そして最悪な結末に

倒産

写真はイメージです

 どうやら、そこにいた男性たちは弁護士で、彼らは田村さんに会社が倒産したこと、社長を始め、他の取締役と連絡がつかないことなどを聞かされました。 「少しずつ状況が見えてきました。会社が倒産したのです。しかも、代表者は姿を消している状態。どうやら、計画的な倒産のようでした。最初からそれありきで私はスカウトされたこともその時点でわかりました。正直最悪な展開ですね」  結局、今さら逃げることも隠れることもできない田村さんは、破産管財人主導のもと、会社清算まで付き合い、その半年後ようやく全ての処理が終わったといいます。 「今から考えれば、出来過ぎた話でした。人間は欲深い生き物です。しかし、自分で決断したのだから、後悔はありません。残りの人生をゼロからやり直します」  現在は持ち家を処分し、家族とともに実家のある仙台へ里帰りし、職を探す日々を送っているそうです。 <TEXT/ベルクちゃん>
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
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