更新日:2025年01月03日 11:22
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史上最速100店舗を達成した「から揚げの天才」わずか3年で店舗数が10分の1に…好調の“業界トップ”と分かれた明暗

レッドオーシャン化する唐揚げ市場

からやま レッドオーシャン化する唐揚げ市場の中では、から揚げの天才以外にも、各社がしのぎを削っている。  業界1位を誇る「鶏笑」(株式会社NIS)は業績を向上させている。国産鶏の使用、低コストによる開業、簡単調理、業界No.1の店舗数、ロイヤリティなし、万全サポート、オーナー1人で運営可能をアピールポイントに加盟店を積極的に募集しており、今や約250店舗を展開する勢いだ。  2023年2月にはSRSホールディングスが全発行済株式を取得し、子会社化した。SRSとは、和食さとを中核に展開する和食ファミレスチェーンの持株会社だ。NISは、唐揚げ専門店「鶏笑」を運営し、国内外に約200店舗(2024年11月時点)を展開しているが、このM&Aを通じてSRSは、唐揚げのテイクアウト事業に参入。大量仕入れによるスケールメリット、新商品の開発・既存事業とのコラボなどによるグループシナジーに期待しているようだ。

著しく店舗数を減らした「から好し」

 唐揚げ業界2位の「からやま」は、かつ丼チェーン「かつや」と同グループでアークランドサービス傘下のエバーアクション株式会社が運営しており、2022年12月末時点で122店舗出店している。かつやと同様に来店客に次回利用できる100円割引券を配布しており、看板定食はからやま定食(4個入、792円税込)だ。12月には年末大感謝祭を実施しており、筆者が訪れたときは営業開始からすでに客席が埋まっていた。  2010年には関西圏での店舗展開力を強化するため、SRSと資本・業務提携を締結し、サト・アークランドフードサービスを共同出資で設立し、関西圏でのエリアフランチャイジーとして協力関係を構築している。2024年3月末現在で関西11店舗(大阪10店舗/兵庫1店舗)を展開中だ。SRSは前出の鶏笑も傘下に有している。唐揚げ市場において、鶏笑はテイクアウト事業、からやまは店内飲食と棲み分けを行っている。  業界3位はすかいらーく傘下の「から好し」だ。すかいらーくグループのスケールメリットとグローバルネットワークを活かした調達力が強みだが、2021年では約90店舗あったのが、現在では56店舗と著しく店舗数を減らしている。しかしながら、同じグループ傘下で、全国1246店を誇るファミレスチェーン・ガストでから好しの売れ筋商品を販売しており、ブランドの生き残りを図っている。
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唐揚げ専門店の持続経営は難しい
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飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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