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1万円で買える「ノンブランド、30TBのSSD」の正体。サクラレビューで高評価を増やす“嘘だらけの製品”に注意

何もかもすべてが嘘だらけの製品

外付けSSD

「CrystalDiskMark」の測定結果。

外付けSSD

「H2testW」の測定結果。

では実際に内部はどうなっているか分解してみてみます。商品ページでは耐衝撃や防水、防塵などと書かれていますが、ごく普通のプラスチックでハメ合わせされているだけで、ネジやパッキンといったものは一切ありません。USBタイプCコネクタも防水性のものではなく、ごく普通の基板用コネクタが搭載されています。
外付けSSD

ケースを分解した様子。基板は接着剤で固定されただけのお粗末な作り。

続いて、SSDの心臓部となる記憶領域には、マイクロSDカードが封入されています。このマイクロSDカードにも記載は一切なく、正体不明の怪しいマイクロSDカードが使われています。 特殊なライトを当ててみても印字を消したような痕跡はなく、明確に痕跡を残さないようになっているようです。基板上に唯一搭載されているチップは、「Chipsbank CBM2199S」。 正しい刻印であるのであれば、USB2.0対応のNANDフラッシュコントローラ。最初から判っていたことだが、「30TB」も「USB3.x」も何もかもすべてが嘘だらけの製品となっているようです……。

悪評が多くなるとアカウントを切り替えるから…

外付けSSD

基板部分拡大。NANDチップのみ唯一刻印があるのが見受けられる。

ちなみにこの手の製品は、販売数が増え、悪評が多くなるとアカウントを切り替えて新規販売を行うわけです。そして、都度サクラレビュー等で高評価を増やしていきます。また、使えないと判り返品しても、あの手この手で返金を渋っているようです。 自分が大事にしているデータをこういった怪しい商品に保存して失ってしまわないようにしましょう。「安いから」、「レビューが高評価だから」などの理由で安易に飛びつくのは危険です。一生物のデータを保存するのだからこそ、下調べをして信頼のあるメーカー製の製品でデータを保存したいものです。 最後にもう一度、2025年1月現在、一般人が購入して使える外付けSSDは最大容量8TB辺り、1TB約1万円ほどです。ここから大きく外れるような製品はまず間違いなく偽物と思っても間違いありません。 <TEXT/板倉正道>
テクニカルライター。三才ブックスのマニア誌『ラジオライフ』にてガジェットや分解記事を執筆。買ったら使用前に分解するのがライフワーク
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