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女性優遇への男の怒りは正しいのか!?

女性優遇への男の怒りは正しいのか!?

「女性優遇社会」に不満を抱く男性たちの怒りの矛先は正しいのだろうか。ジェンダー論を研究する北海道大学大学院の瀬名波栄潤准教授に話を聞いてみた。

「私は基本的人権が男性と等しく与えてこられなかった女性に対する優遇措置は、適切と考えます。ただ、女性専用車両やレディースデーなどは差別是正のための優遇とは別。女性優遇に見えますが、これは政府や企業が行政や集客アイデアの貧困を、性差の問題にすりかえて解決しようとしているだけ。問題の本質を見極めれば、『女性優遇』だと怒る人もいなくなる」

 また同時に、男性にとっても生きづらくなっている今の日本社会では、「男性の保守化」が指摘されているという。

「アメリカではフェミニズム運動の高揚に危機感を抱いた男性たちが、’70年代には『男性解放運動』というものも起こりました。なかには、フェミニズム運動との共生を図る人々もいましたが一方ではそれに危機感を抱き、自立心、行動力、選択能力といった、伝統的に男性の特性とされてきた良い側面に光を当て、再評価する保守派もいました。結果、男同士でキャンプに行ったり、120万人がフットボールスタジアムに集って祈りを捧げる男性性復古主義の宗教団体まで勢力を伸ばしています。男性が力を持っていた時代の『男性神話』にすがることで、安心感を得ているのです。日本でも、やはり男性は外で働き、女性は家庭でといった伝統的な価値観復権の動きもあります」

 事実、専業主婦になりたいと考える20代女性が増えているという統計実態(厚生労働省の5月末調査)もある。

「それも僕は肯定的に受け止めています。女性の就労の厳しい現実を反映しているともいえますが、昔と違い、彼女たちは専業主婦をライフスタイルのひとつとして、主体的に選んでいると思います。むしろ男性のほうが古いものにすがり、自由選択に慣れていない。多様性を互いに認め、自分らしいライフスタイルを切り開く勇気と誇りを持ってほしい」

「女性優遇社会」への男性の怒りも、多様化の中での意見表明だとすれば、むしろ歓迎されるべきかもしれない。

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瀬名波栄潤氏
北海道大学大学院文学研究科准教授、米国サウス・カロライナ大学英文学博士。
英米文学とともに、ジェンダー運動にも広く取り組む


取材・文/SPA!男性問題サポーターズ
写真/男性差別を許さない市民の会
― [女性優遇社会]にマジギレする男たち【6】 ―

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