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SNSで暴れる“読解力のない人”の実態。「読めない」のではなく「書いていないことを読んじゃう」ワケ

 みなさんは「読解力」に自信がありますか?  仕事や勉強ではもちろん、昨今ではSNSの投稿を文字で読むなど、文字が目に入りやすい環境にあるように感じます。  SNSといえば、切り離せないのが「炎上」。原因は様々ですが、ツイートがバズったことをきっかけに、返信欄が罵詈雑言の飛び交う戦場と化すことも珍しくありません。  有名人はもちろんのこと、匿名に徹する方でも「特定班」が出動してしまえば、たちまち丸裸にされてしまうリスクも。なかなか燃えたくはないものです。  毎日どこかで起きている炎上騒動ですが、中には「どうしてこれが?」と首をかしげたくなるような投稿が散見されます。  これについて、東大卒業後にマッキンゼーへと就職し、現在では国語専門塾を立ち上げられている神田直樹さんは「読解力の欠如もその一因」と断じます。今回は「読解力のない人が見ている恐ろしい世界」についてお伝えします。
読解力の欠如

※画像はイメージです。以下同

「読解力の欠如」と炎上の関係

――読解力の欠如と炎上にどんな関係があるのでしょうか? 神田:読解力がないといわれると、我々は「文章が読めない」と考えてしまいがち。ですが、読解力の不足がもたらす弊害は、さらに一段階先にあります。つまり、「書いていないことを読んでしまう」のです。  そもそもそんなことを言っていないのに、思い込みや論理的思考力が足りないと、都合のいい部分しか目に入らない。  だからこそ、文脈に沿っているようで発言者の意図と異なる解釈を行い、批判や攻撃をしてしまうのでしょう。  もちろん、文章が読めていればそれを咎める人も出てきますが、同時に文脈を考えず賛同する人やただ騒ぎたいだけの人などが集まってくると、炎上騒ぎに発展することになります。

「書けば褒められる」日本の国語教育

――「書かれていないことを読む」。こういった人々をさして「義務教育の敗北」と揶揄する動きもネットにはありますが……。 神田:そもそも、日本の教育に出てくるテストでは「間違えて読んでいる」ことと「読めていない」ことをあまり区別できていないんです。  学校のテストでは間違えて読んでいるときも、読めていないときも同様にバツがつきます。そして、講師は一方的に「正解」を説明して授業が終わる。  結果として、自分の答えがなぜ間違いなのかわかる機会がありません。文章の解釈について論じる場があまりにも少ないし、「あなたの解釈はここが間違っている」と指摘される機会もないからです。  また、別の問題として、「読書感想文」や「作文」の指導が中途半端なこともあげられます。  これらの課題は、とりあえず出せば褒められ、内容面や書き方のレベルまでしっかりと指導をされるような場面が乏しいように感じます。  結果として、感想文なのだから何を書いてもいいと考える子どもになってしまう。「読んで感じたこと」を肯定するのはいいですが、だからといって何を書いてもいいわけではありません。  やはり、ディスカッションやディベートなど対話の経験を積むことが何よりも必要だと感じます。  経験から、論理的読解と、相手に理解を伝える練習を学べるからです。
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「書かれていないことを読む人」の考え方
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1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa

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