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春とヒコーキ・土岡という男の凄さ

ニートの土岡から突然呼び出された日

全国的な落研のカリスマ的存在だった土岡がなんか変な扱いに変わっていった。土岡本人もニートをしている間、何で俺はこうなった?という気持ちであっただろう。 そんなニート期間中も、我々はちょくちょくと遊んでいた。卒業してから1年か2年ほど経ったある日、 「話したいことがあります」 と私とぐんぴぃが突然、まだまだ絶賛ニート中の土岡宅に招集された。 夕方5時くらいに集まった私たち。何だ?話したいことって、と問うてみても何やらモゴモゴと一向に話さない土岡。 まあいいやとグダグダと過ごしていてもう22時23時と夜遅い時間になったため、私もぐんぴぃも電車のあるうちに帰ると言うと土岡は引き止める。 何やら本当に私たちに伝えたいことがあるのかと、私とぐんぴぃは終電を逃して土岡に付き合うことに決めた。 そして夜中の2時頃になり、土岡がひとしきり黙ったかと思えば、 「あの…僕、婚前交渉はしないってルールを決めていたと思うんですけど、これからは婚前交渉をすることにしました…!」 そう私たちに強く宣言した。はてなであった。 「それは、そういうことがあって童貞を卒業したってこと?」 「いや、そういうわけじゃなくてこれからは婚前交渉をするって決めたんだ」 「彼女ができたりそういうことの目処が立ったりしたの?」 「いや、全く目処はないけどこれからは婚前交渉をすることにしようと思う」 「それが俺たちに伝えたかったこと?」 「そう」 勝手にしろよ、そう思った。 何でこんなことを聞くために終電まで逃さねばならんのだ。今でもそう思う。

自分ルールを破った覚悟

土岡は学生時代、例え彼女ができても婚前交渉はしないという自分ルールを定めていた。実際に土岡には大学時代彼女がいたのだが、そういうことはなかった。 土岡は、自分が定めたルールを守ることに喜びを感じると以前から話していた。 しかし、そんな土岡が自分の定めたルールを破る覚悟を決めましたというこの発言、これは実は大変に重大なものだったのではないかと思えてきた。 これは単なる婚前交渉をしたいということではなく、自分のルールの外で生きる覚悟、芸人として自分の人生を自分で動かしていくんだという覚悟を話してくれたのではないだろうか。 だから、土岡が婚前交渉をしないという誓いを解いたあの日の決断は、土岡にとって非常に大きなものであったのである。 ただ、私とぐんぴぃは全くその意図を汲み取ることはできず、何だこいつと普通に引いていた。 土岡にとってはそれで構わなかった。土岡は自分がそうと決めて宣言することが大事だから。 あの日以降、徐々に面白くてカッコよかった土岡が戻っていった。
ぐんぴぃの友人。芸人としての活動もしている。@saisaisai4126
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