投手・大谷翔平が見せた「復帰後の驚異的進化」…数字が証明する“フォーシームの衝撃”
30歳にして、すでに3度のMVPを獲得している大谷翔平。右肘のリハビリ中だった昨季は、「50-50クラブ」を自ら創設するなど、打者一本で文句なしの満票MVPに輝いた。
アメリカでは、以前から「トミー・ジョン手術(以下、TJ手術)を受けた投手は球速が上がる」という都市伝説のような通説がある。
実際、TJ手術後に球速を上げた投手もいれば、逆のパターンもあり、一概に肯定も否定もできない。大谷自身は2018年10月に1度目のTJ手術を受けたが、その時は18年に96.7マイル(約155.6キロ)だったフォーシームの平均球速が、20年に93.8マイル(約150.9キロ)に大きく下落。
その後、21年に95.6マイル(約153.8キロ)、22年に97.3マイル(約156.6キロ)と推移し、フォーシームの球速を回復させるのに、数年を要した過去がある。
そして、2度目のTJ手術を受けることになった23年は、96.8マイル(約155.7キロ)と、前年から平均球速を下げていた。キロ換算で1キロにも満たない些細なものだったが、改めて振り返れば、それは右肘が悲鳴を上げていた証拠だった可能性もある。
そして今季、大谷は2シーズンぶりの登板で意外すぎるフォーシームの進化を見せた。それは数字にも表れていて、前回登板した28日のロイヤルズ戦でなんと自己最速となる101.7マイル(約163.6キロ)をマーク。今季まだフォーシームの球数自体は26球とサンプルは少ないが、平均球速は98.7マイル(約158.8キロ)に上っている。
2度目のTJ手術を受けた23年と比べると、実に3.1キロもの上昇。自己ベストだった2022年に比べても2.2キロもの球速アップに成功しているのだ。しかも、大谷本人が、「球速も投げ方もまだまだ改善の余地がある」と語っているから、今後さらに伸ばしてくることも考えられる。
二刀流が本格的に復活へ
今季は春先に投手としての調整が難航すると、二刀流復帰による身体への負担増や、打撃への悪影響を懸念する評論家などから「今季も打者一本で行くべきだ」という意見も出た。 そんな中、大谷は6月16日(現地時間、以下同)に、急転直下で二刀流復活を果たす。663日ぶりの登板は、1イニング限定だったが、28球を投じ、二刀流選手として完全復活へ大きな一歩を踏み出した。 その後は、いずれも中5日で2度登板。これまでの3登板で合計4イニング、73球と球数は限られているが、投手・大谷の新たな一面がすでに見え始めている。
トミー・ジョン手術後は球速が上がる?
フォーシームが劇的に進化
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。現在は、MLBを中心とした野球記事、および競馬情報サイトにて競馬記事を執筆中。
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