6000人を捕まえた万引きGメンが「この人はやるな」と判断するポイントとは…セルフレジ導入で“新たな手口”も急増
令和6年の警察庁のデータによれば、近年減少傾向にあった万引きの認知件数は、一昨年から増加に転じ、昨年は10万件に迫る勢いになったという。この数値はあくまで「認知」された数であり、実際に起きている万引きはさらに多い。専門家の試算によると、被害額は数千億円は下らないそうだ。
身近で起きていながらも、なかなか目につかない犯罪だが、実効性のある対策の1つが「万引きGメン」とも呼ばれる保安員の導入。彼らは、店内をさりげなく巡回して、万引きする者がいないか目を光らせ、実行犯を捕らえる。
保安員になるには資格は不要。その仕事に就くこと自体は比較的ハードルが低いが、犯意を嗅ぎ取るセンスなどが求められ、ベテランの域まで達する人が少ないのが実情だ。
そんな数少ないベテランの1人が、この道26年の伊東ゆうさん。これまで6千人を超える万引き犯を捕まえた、万引きGメンのレジェンド的存在だ。今回は伊東さんに「表にはなかなか出てこない万引きの実態」を伺った。
——ご著書の『万引き 犯人像からみえる社会の陰』を読み、統計データを調べるまで、万引きがこれほど多いとは想像もしていませんでした。
伊東ゆう(以下、伊東):私は週に4日ほど、依頼を受けていろいろな店で巡回していますが、1日に複数の万引き被害を受ける店は、ざらにあります。地域やお店の業態によって、高齢者あるいは高校生による万引きが多い、外国人や集団のターゲットにされやすいといった違いはありますね。エリア全体の治安が悪いと、万引き犯が密集していますが、逆に高級住宅街にある店は大丈夫かといえば、そうとも言えません。ただ、そうした店で万引きしようとする者は、私のアンテナにかかりやすく、捕まえやすいですね。
——地域によらず、外国人の万引きは依然として多いのですか?
伊東:多いですね。前はベトナム人が多かったのですが、現在は多国籍化しています。何人かで組織化している場合だと、有名衣料店やドラッグストアを狙います。
盗ったものは、本国に送って売りさばいています。日本製の衣類、化粧品、医薬品は、現地で人気が高くて、こちらの価格の2倍から5倍ぐらいで取引されるんです。化粧品は、流行り廃りがあって、それを把握して盗りにきます。だから、何が海外で流行っているかを店側は敏感であるべきだと思いますね。
——日本人と外国人とで、つかまえやすさに違いはありますか?
伊東:日本人はおとなしく捕まることが多いですが、外国人だと8割方は逃げるか暴れるかします。いったん警察沙汰になって日本を退去させられると、もうこちらには入国できないので必死になるんです。Gメンとしては、暴れられるとかなり厄介になりまして……。
一例を挙げましょう。化粧品や食品を大量にかばんに入れた外国人女性を捕まえたときのことです。店の事務所に入ったところで、大暴れし始めました。取り押さえた際に、私が持っていたスマホが、たまたま相手に当たって、ちょっとしたあざができるくらいの怪我をしてしまったのです。すると向こうが逆上して、こちらを悪者扱いにしまして……。呼んだ警察の人から「伊東さん、これはまずいですよ」って言われて、その女性もこちらに対して暴力の被害届けを出す、みたいな展開になりました。最終的に、こちらに落ち度はないとわかり事なきを得ましたが、こういうケースはかなり厄介ですね。
ベテラン万引きGメンが語る「令和の万引き事情」

伊東ゆう氏
「万引きGメン伊東ゆう 公式サイト」より
多国籍化する万引き犯たち
外国人だと乱闘騒ぎになることも…
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki
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