ポケモンカード「巧妙化する詐欺手口」の闇。“返品すり替え”で10万円の人気カードを騙し取る例も
トレーディングカード(トレカ)市場の中でも、空前のブームを巻き起こしているのがポケモンカードだ。2024年10月には、オンラインでもポケモンカードバトルが楽しめるアプリ「ポケポケ」がリリースされ、実物のカード需要がさらに高まったことから、品薄状態が続くほどの人気ぶりとなっている。しかし市場の拡大に伴い、詐欺被害も増加・巧妙化している。
今回は、国内最大級のスニーカー&トレカフリマアプリ「SNKRDUNK(スニダン)」を運営する株式会社SODA 執行役員CBOの神 義詞さんに、ポケモンカード市場の動向や、横行する詐欺の実態について話を聞いた。
スニダンは、2021年にスニーカーフリマアプリ「モノカブ」を買収した際に、トレーディングカード(以下、トレカ)の鑑定・検品ができる人材が在籍していたことから、トレカのカテゴリーも取り扱うことになる。
トレカ自体は昔から人気があり、「遊戯王」や「マジック:ザ・ギャザリング」「ワンピースカード」「ポケモンカード」など、それぞれ熱狂的なファンがいる。特にポケモンカードは2023年6月頃に大きな盛り上がりを見せた。
その経緯について、神さんはこう説明する。
「コロナ禍によってトレカ市場全体が活性化したのに加えて、ポケモンは1990年代から続く歴史あるIPであり、世界的に広く知られているため、海外でも人気が高まりました。そして、ポケモンカードのデザインには、著名イラストレーターであるさいとうなおきさんが関わったことも大きな話題を呼びました。
海外ではPSA(世界最大のトレーディングカード真贋鑑定)というサービスがあり、カードの保存状態を評価して価値を保証する仕組みが確立されています。こうした環境も相まって、コレクターやプレイヤーはもちろん、投資的な視点で購入する人々が参入し、結果的にポケモンカードは急激な盛り上がりを見せたわけです」(神さん)
ポケモンカード市場の面白いところは、いろんな目的で参加してくるユーザーの多様性にある。とにかく希少性の高いカードだけを集めるコレクターもいれば、大会に出ながら手元にレアカードをコレクションする人、あるいはシンプルにゲームを楽しむことを目的にしている人など、さまざまな層が共存しながら市場が成り立っているのは、まさに絶妙のバランスだと言えるだろう。
さらに、2024年10月にポケモンカードのオンライン対戦アプリ「ポケポケ」がリリースされると、瞬く間に世界で1億ダウンロードを突破し、月間アクティブユーザー数も約5000万人に達するなど大きな話題を呼んだ。その影響で、いっとき沈静化したポケモンカード人気を再燃させることになったのだ。
「ポケポケの人気をきっかけに実物の紙のカードにも関心が高まり、需要が急増した結果、カードパックは品薄状態が続いており、玩具店やコンビニで『1人2パックまで』と購入制限が設けられています。それだけ供給が需要に追いついていないということであり、海外のユーザーからも人気が高く、第2次ブームとして価格が右肩上がりに上昇しています」
面白いのは、ポケモンカードが日本発のIPであるにもかかわらず、日本で流通している日本語版と海外で流通している英語版は仕様が微妙に異なる点である。コレクターの中には、それぞれの仕様の違いを楽しみながら収集している人もいるなど、世界中の人が欲しがる“希少性の高さ”から、ポケモンカードは今でも非常に盛り上がっている状況と言えるだろう。

株式会社SODA 執行役員CBOの神 義詞さん
コレクター・プレイヤー・投機勢が共存するポケモンカード市場の絶妙さ

スニダンで取り扱うトレカジャンルの一例
「ポケポケ」のリリースでカード人気が急激に上昇

スニダンで出品されているポケモンカード
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1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている
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