更新日:2026年01月03日 18:08
仕事

30代からのキャリア戦略。「多様性」という言葉が氾濫する現代で、本当に自分らしい働き方とは何か?

 リモートワーク、副業解禁……働き方の選択肢は増えたものの、本当に「自由」なのだろうか? 周囲の目を気にし、会社の意向に沿った「多様性」に囚われていないだろうか?  ワークライフバランス、キャリアの再構築、新しい生活様式への適応……。多くの選択肢がある一方で、企業側の思惑や社会の同調圧力も存在します。  固定観念を捨て、自分にとって最適な働き方とは何か。  生物学者で早稲田大学名誉教授でもありフジテレビ系列の『ホンマでっか!?TV』のコメンテーターを務める池田清彦氏が、多様な働き方の本質に迫ります。 多様性バカ 書影※本記事は、『多様性バカ 矛盾と偽善が蔓延する日本への警告』(扶桑社刊)より一部抜粋・再構成してお届けします。

一律の規則をやめて多様性ある組織を実現した企業

グローバルなテレカン画面

※画像はイメージです(以下同)

 少しだけ希望が持てることがあるとすれば、コロナ禍を機にリモートワークが一般化して、働き方の多様性を認める会社が増えてきたことだろう。  その最先端を行っている代表的な会社の一つがソフトウェア開発を手がけるサイボウズ株式会社だ。  サイボウズは1997年に愛媛県松山市に設立されたが、創業メンバーの一人だった青野慶久が社長に就任したのは2005年である。  当時は離職率がとても高いことに悩まされ、M&Aで大きな損失を出したりもして、社長を辞めるかどうかの瀬戸際まで追い込まれたそうだが、メンバーの多様性を重んじる組織のあり方を徹底的に追求した結果、会社は大きく生まれ変わった。  サイボウズが多様性ある組織を実現させるためにやったことは、「一律的な規則で働かせるのをやめること」だ。

「100人いれば100通り」の人事制度が導く革新

「多様性が大事だ」という人に限って、それを意図的に作り出そうとするものだけど、そもそも人間が多様であるのは当たり前なのだ。  阻むものがあるとすれば、それこそが「ルール」のような枠に人をはめ込もうとすることであり、それをやめるという青野の決断は至極真っ当だと思う。  そうして生まれたのがメディアでも話題になった「100人いれば100通りの人事制度」である。この人事制度のもとでは、週に3日だけ働くというスタイルも認められるし、副業も自由である。  こうした人事制度の面白さからレベルの高い学生が集まるようになり、中途採用にもユニークな人が集まるようになる。そしてそこから先は多様であるのが当たり前である会社になっていったのだという。  サイボウズの事業の主力をなすのはクラウド事業であるが、それを成功に導いたのは、個性豊かなサイボウズの中でもとりわけ「アウトサイダー」的な存在の人たちだった。  これこそがまさに「多様性のある組織の強さ」だといっていいだろう。
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残業禁止、副業推奨…それは本当に「多様な働き方」なのか?
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1947年、東京都生まれ。生物学者。東京教育大学理学部生物学科卒、東京都立大学大学院理学研究科博士課程生物学専攻単位取得満期退学、理学博士。山梨大学教育人間科学部教授、早稲田大学国際教養学部教授を経て、現在、早稲田大学名誉教授、山梨大学名誉教授。高尾599ミュージアムの名誉館長。生物学分野のほか、科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書がある。 フジテレビ系『ホンマでっか!?TV』などテレビ、新聞、雑誌などでも活躍中。著書に『騙されない老後』『平等バカ』『専門家の大罪』『驚きの「リアル進化論」』『老いと死の流儀』(すべて扶桑社新書)、『SDGsの大嘘』『バカの災厄』(ともに宝島社新書)、『病院に行かない生き方』(PHP新書)、『年寄りは本気だ:はみ出し日本論』(共著、新潮選書)など多数。また、『まぐまぐ』でメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』を月2回、第2・第4金曜日に配信中。

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