「質の高い投資先」探しにハマる人ほど勝てない…FIRE投資家が語る“量”の現実
長年、日本企業は製品の「質」を高めることを重視してきました。しかし「質」を高めるだけではなく、ビジネスや投資で成功するためには、「量」の観点を見過ごしてはいけないとFIRE投資家の村野博基氏は言います。近著『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社刊)を上梓した村野氏が考える「誰でもできるからこそ見過ごされがちな投資の視点」とは。
以前、私の知人に1台50万円以上する「プラズマ発生器」を訪問販売する会社にいた人がいました。「そんな怪しげで高いもの誰が買うの? そもそも何に使うの?」と興味津々で聞いてみた所、とにかく家を訪問して実演をするのだそうです。シンクに水を貯め、プラズマ発生器を通電させてプラズマ化した水を作る。ここに冷蔵庫から取り出した野菜を入れると、何か汚れが浮いてくるそう。そして「ほら残留農薬がこんなに浮き出てきました。この機械があれば全部洗い流せるんです」と説明するのだとか。結果、「かなりの人がこのプラズマ発生器を購入してくれる」と知人は言っていました。
ちなみに、このプラズマ発生器は中国製で原価は数千円程度。「そんなモノがよく売れるなぁ」と感心していた時に彼はこう言いました。「どんな商品でも1000軒回れば数個は売れる。ただ人は1000軒回る前に心が折れるから売れないだけ。だから売るマニュアルの前に1000軒回るための仕組みを作ることが大事なんだ」と。
商品をより多く売るために「1000軒訪問する『量』が大事」という考えは、私がサラリーマンだった時代にはあまりない発想でした。私の在籍していた会社では「より良い方法は?」「企画はブラッシュアップしていこう」という「質」の観点が重視されていました。ですから、「もしこの商品をより売るためにどうしたらいいのか?」を問われたら、私は訪問時の成約率をあげるために「実演方法の研修」をしたり、マーケティングの観点から「少し価格をリーズナブルにする」などの「質」を上げる方向でのアイデアしか思いつかなったでしょう。
日本では「良いものであれば売れる」という意識が強く、製品やサービスの質を高めることは多くの企業が重視している要素です。結果、日本の消費者は「世界一厳しい目を持つ」と言われます。海外を旅行すると、シャワーの水圧がとんでもなく弱かったり、メモを取る際のボールペンの書き心地が悪かったり、日本で暮らすのと比較して、質の低さに驚く人たちも多いのではないでしょうか。
私は治安も良く、手厚くフォローしてくれるお店がたくさんある日本の生活環境は素晴らしいと思っています。しかし、この「品質に厳しい」ことこそが「低い生産性に繋がっている」とも言えるのです。
成果とは質×量で決まります。例えば、成果を「利益」とするならば、「質=粗利」で「量=個数」となります。「品質に厳しい」とは、言い方を変えれば「原価率が高い=粗利が低い」というわけです。粗利が低ければ、当然のごとく個数をたくさん売らなければ利益は出ません。つまり、生産性は自ずと低くなるのです。
「生産性を上げろ」という言説は、とどのつまり「利益率をあげろ」という話と同義です。極論かもしれませんが、生産性を上げるという錦の御旗で「消費者は高価格・低サービスを受け入れろ」と強いるのは、なかなかにヒドい話です。一消費者としては、むしろ「安い製品や安くサービスが受けられるのはありがたいし、生産性なんてあげなくていいよ」と思うのです。
ちなみに、ここで言うのは「質が高い=モノが良い」という意味ではなく「質が高い=価値がある」という意味です。例えば、私の観点から見るとネームバリューがあるブランド品はその名前の分、価格と価値があっておらず「質が低い」としています。

画像はイメージです
「質」と「量」どちらが大事?
「質が高い=モノが良い」ではない
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1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち19区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『戦わずして勝つ 不動産投資30の鉄則』(扶桑社)、『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵"不動産投資法』(アーク出版)
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