ノマド的生き方に必要なのは、スキルと貯金
―[ノマド入門(笑)]―
炎上案件という意味も含め、なんだか「ノマド」が注目を集めている。そんなノマド・ブームを旅をしながら仕事をする翻訳家・ライターまいるす・ゑびす氏はどう見ているのだろうか?
◆ノマド的生き方と仕事そのものは無関係
今回の旅は南米ですが、旅に出てもうすぐ3年になります。旅の間は翻訳の仕事を週に5~6時間のペースでするくらい。もっとできるんですが、20万円以上は稼がないようにしているんです。そんなに必要ないし、もともとあまり働きたくないというのがあったわけですから(笑)。旅しながら仕事したいとは20代半ばの頃から思っていて、いろいろ構想を練ってはいましたね。
でも自分が今流行のノマドかというと、よくわかりません。少なくとも僕の生活は自慢するようなものではない。ノマドは会社でうまくやれない人が選択する道であり、憧れてハッピーな気分で始めるものではないと思うんですよね。ただ、隣の芝生が青いだけではないでしょうか。
ノマド的な生活は技術的には簡単になっていてイメージが先走っている。でも、ノマドって自分から言う人は、信用しないほうがいい気がします。仕事そのものとは関係ないことで、むしろ、マイナス。僕自身、仕事相手には自分の居場所は言いませんし、旅先でトラブルがあっても、それを言い訳にしない。相手が納得するレベル以上に落とし込んで納品するよう心懸けています。
この生活もあと2~3年かなと思っているんです。翻訳業界も先は決して明るくはありませんし、長期的に何かをやりたいと思ったらやはり一か所にいたほうが絶対にいい。ノマドって将棋で言ったら王将で攻撃しにいくようなものだと思うんです。ただ、城を築いたほうが位も安全度も高いというのは、王将で攻めたことがある人のほうがよくわかる。
その意味でも今はいい勉強になっていますし、ノマドをしたい!という人には、考える前にやってみればいいと言いたい。ただ、最初はお金にある程度余裕を持っていたほうがいいし、お金に換えられるスキルは必要ですけど。
【まいるす・ゑびす氏】
’77年、広島県生まれ、ボストン育ち。『ライフハッカー』などで翻訳家・ライターとして活躍するほか、シンガー・ソングライターの顔も。http://blog.livedoor.jp/eggmen8/
取材・文/ノマド・ウォッチャーズ
― ノマド入門(笑)【9】 ―
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