米料理専門総料理長『米がよくても水がよくてもそれだけじゃ×』
米そのものを美味しく食す方法をお米の達人に聞く!
米料理専門屋「心米」総料理長・吉田政紀
米がよくても水がよくてもそれだけじゃ×
お米はワインに通ずるところがあり、どんな料理と一緒に口にするかでお勧めは変わります。「あきたこまち」は上品で繊細な味なので、焼き魚などのあっさり系に合いますが、逆に肉料理だと、パンチの効いた肉の味に風味が打ち消されてしまいます。肉料理には力強い味の「コシヒカリ」などが合うんですよね。
けれど、せっかくいい品種のお米を使っても、そもそも水が悪ければ米の味も落ちます。水は米の命ともいえるもの。ミネラルウォーターを使う際は、硬度は40~60度のものがベスト。硬度が高いと炊きあがりがパサパサしてしまいますし、硬度が低いと軟らかすぎてしまうんです。
そしてといだ後の浸水時間ですが、6時間以上であれば、2~3日放っておいても問題ありません。水を吸いすぎるということはないので、3日分ほど一気にお米を研ぎ、浸水させたままタッパーなどに入れて冷蔵庫で保存しておいても大丈夫。
ちなみに、最近の炊飯器の性能もすごいですが、やはりお米の味をもっとも引き出せるのは土鍋でしょう。土鍋は炊く際に余分な水分を吸ってくれるんです。鍋の厚みは好みが分かれるところで、厚みがある方がより強い火力が必要になりますが、お米が軟らかく炊きあがりますね。
もうおわかりかと思いますが、いい品種や産地の米を使うだけでいいわけでもないですし、いい水だけでもダメですし、うまい炊き方をするだけでもダメ。土鍋で炊いたからって必ず美味しくなるわけではありません。最高のご飯を食べるには、米の選定から炊き上げるまで、ひとつひとつの工程の積み重ねが大事であり、どれが欠けてもいけないんです。
「米はワインと一緒 料理との相性次第」
【吉田政紀氏】
全国から取り寄せたお米をメインに、様々な和食料理が
堪能できる米料理専門屋「心米」の総料理長。
(「心米」問:03-5793-4556、東京都港区白金6-18-7 2F、17:00~翌1:00、日祝定休)
― 一杯のご飯を最高に美味しく食べる方法【7】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ