高級外車を1/3で買う方法【後編】
―[高級外車を1/3で買う方法]―
【前編】はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/225478
「金融車」という言葉をご存知だろうか? 端的にいえば、自動車のユーザーが、債務の不履行など、諸事情によりローンの残っている状態で売却→市場に出回っている商品のことである。その性質上、金融車のユーザー=高利貸し等アングラ稼業の周辺人物、いわゆるヤクザというイメージが強かったが、「最近はカタギも多い」と語るのは、ヤミ金経営者のH氏(30歳)。
実際、ヤフオクの「自動車車体」カテゴリで「金融車」と検索すると、100件近くヒットするが、商品説明のなかには「金融車ということをご理解のうえご入札ください」などととりつくしまもない。
その道のプロならともかく、素人が値段だけで購入を決めていいものか? 気になる疑問点についてH氏に聞いてみた。
Q:どうして名義変更ができないの?
「金融車ってのは元の使用者が残債(車のローン)が残っている段階で業者に売っぱらった、もしくは借金のカタに取られた車のことをいう。車検証を見てもらえば一目瞭然だけど、ローンが残っている状態での所有者は信販会社になる。名義変更するには所有者である信販会社への残債を完済する必要がある」
Q:じゃあ、金融車を買っても自分の物とは認められない?
「国に認められた所有権はムリ、永遠に認められない。ただ、民事的に所有権を主張することはできる。なぜかというと、使用者が車を手放すときに、以下のような譲渡証明書を書かせるからだ」
○ 月○日までに金○○万円をお支払いします。
返せない場合は、私が使用者である「○○○○(車名)」のローンが残っている状況ですが、売却をします。
「○○○○(車名)」のローンは今後も私が支払います。支払いが終わり次第、名義変更をします。
ローンを支払い終わるまでは、私の名義のまま乗っていただいて結構です。
こう書かせたうえで、署名、実印を捺印し、印鑑証明書を業者に渡すのだ。
「この書類を保持することで、仮に元の使用者が『だまし取られた』などと訴えてきても、民事裁判で裁判官に正当性を主張することができる。ただ、たいていの場合、元の使用者はローンを払えずに飛ぶ。そしたら信販会社は元の使用者に対して『車を返せ』って正当な所有権を振りかざすわけだけど、車はすでに借金のカタとして、押さえられて、“どこの誰が乗っているのかもわからない”状態。金融車ユーザーとして一番怖いのは、“所有者(信販会社)がとち狂って自動車本体の抹消登録をしてしまう”こと。そうなれば、車検を通すことなんて絶対に出来ないから。でも、俺も何百台って金融車を扱ってきたけど、そのケースは皆無。だって、そうだろ? 債権をムダに放棄するだけなんだから。かじりついてでも、元の使用者からの残債の回収に走るよ」
金融車のユーザーにとって目の上のたんこぶともいえるのは、車検証に書かれた「使用者」と「所有者」の存在。
しかし、「使用者」からの訴えには、書類(委任状、譲渡証明書、印鑑証明)を紛失しない限りは正当性を主張できる。
「所有者」の一方的な意向で、「自分の知らないところで、ある日突然車に乗れなくなる」といった事態も心配いらない。
「ただ、気をつけなくちゃいけないのは、所有者に車が見つかっちゃうこと。世の中にはわんさか車が溢れているのに、んなバカなって思うだろ? でも、これが意外と多い。よくあるのが、所有者が自動車メーカー系列のファイナンス会社の場合、車検や修理の段階でディーラーに車を持っていってバレるってケース。車検や修理はユーザー車検か、町の整備工場ってのが鉄則だよ。あと、さっきもいったけど、『不可解なナンバープレート』がガレージにあるケースね。金融車ってのは、やっぱり高級車が多いから、都内の駐車場に東北ナンバーのベンツなんてのが置いてあると、やっぱり目につくわけよ。信販会社も金融車問題には頭を痛めてて、横の繋がりで『目立つ車は通報しあいましょう』って連絡取り合ってるくらいだから」
とはいえ、発見される確率が低いことは確か。その他、これまで触れてこなかった車検、保険、検問問題について、あらためて整理しよう。
【車検】
車検証の名義と金融車ユーザーが異なっても問題はない。車検時に必要となる自賠責保険、重量税もお金さえ払えば問題ない。一番のネックは自動車納税証明書。毎年4月末頃、元の使用者に送られてくるが、業者が車を引き取る際「自動車納税はこちらで払うから無視して構わない」と念を押している。金融車ユーザーは、5月末までに、車両が登録された陸運局まで出向き、使用者の代わりに窓口で直接支払う。
【任意保険】
車両保険は加入が難しい。「よく使われるのが、高ランクの任意保険。ドライバー本人にかかる保険で、他人の車を運転して事故ったときにも適用される」(H氏)
【警察の検問】
車検証の提示を求められても「友達に借りてます」といえば何の問題もない。ただし、その金融車が詐欺事件(取り込み詐欺でサバかれた車など)、盗難車、事故車(ひき逃げなど刑事事件となっている車)の場合は別。裏を返せば、元の使用者から受け取る書類は、「事故車等ではない」ことの証明になる。
話を聞いていると、信頼できる(!?)近しい知人が扱う車であれば、まさに「安いだけ得」にも思える金融車。予算オーバーで手も足も出なかった、憧れの高級外車も、同ランクの国産車以下の値段で買えるのであれば、やはり魅力的だ。
「次の買い替えは金融車で……」と色めきたつ記者を横目にH氏が一言。
「でも、一般人が普通に買えるほど存在がメジャーになってくると、そろそろ警察に動きがあってもおかしくないんだよ、犯罪の温床だもん。極端な話、人をはねながら歩行者天国を爆走した車が金融車だったら、追跡なんてできっこないから。Nシステムなんて何の役にも立たないでしょ」
車検を通す際にも現在は通用している手法が、たった一つ法律が変わるだけで、とたんに頓挫しかねない。やはり、ワケアリ商品はどこまでもワケアリなわけで……。 <取材・文/スギナミ>
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