文系は損!? リーマンショックでクビ。MBAにも失敗!
京都大学の研究チームが「理系卒の平均年収は文系卒よりも約100万円高い」という文系卒のビジネスマンにとってはショックなデータを発表。でも、本当に文系のほうが損なのか? この疑問を解決すべく「自分のほうが損だ」と語る文系、理系双方のビジネスマンを取材した。
文系は損だ!
リーマンショックでクビ。MBAにも失敗!
私立K大学・30歳・金融アナリスト
「文系らしく要領よく生きてきたはずなのに、イマイチ軌道に乗れないんですよね」
そう嘆くのは、現在シンガポールの金融機関で金融アナリストとして働く吉行雅和さん(仮名)だ。海外勤務の金融マンとは十分エリートだと思うのだが、「実際は大手金融機関の子会社の子会社の契約社員ですからねぇ」とのこと。
一流大学を出て、外資系コンサルティング会社に新卒で入社。自身は大学時代に弁論部でならした口のうまさで、コンサルタント向きだと思っていたが、入社4年目から仕事が減っていったという。
「業界用語で”オン・ザ・ビーチ”って言うんですけど、客から声がかからず、会社で油を売っている時間が増えて……。上司からは『キミは口ばっかだな』って。コンサルタントは、最善の改革案をゼロから生み出す論理的思考力が必要だと詰め寄られました」
そして、入社5年目。同期の一部はマネジャーに昇進したが、吉行さんはヒラのまま。そんなとき、あのリーマンショックが起きた。
「コンサルの仕事自体が減り、地頭力のない文系ばかりが次々にリストラ。僕も『次のボーナスもらったら、転職活動して』ってやんわりと退職勧告されました」
彼いわく、理系の人間は学生時代から研究を通して、仮説を立てて検証する訓練ができている。ところがコテコテの文系人間にはその経験がないため、コンサルタントとしては大いに不利なんだとか。
「だったら、ハーバード大学のMBAを取得してハクをつけようと決意したんですが、入試の数学で躓き、最終選考で落とされました。米国は今、国策的に中国人留学生を増やしているから、日本人の僕は不利なんですよね。で、コンサル時代の同僚や上司に『来年はハーバードにいますから』なんて吹いたから、落ちた手前、日本にいづらくて。それでシンガポールに流れ着いたというわけです」
現在は、吉行さん以上に口の立つ華人の同僚や客とのやり取りに、ほうほうの体の日々を送っている。
― ビジネスマン[文系VS理系]損なのはどっちだ【5】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ