リアルすぎるホームレスの名言・珍言セレクション
筆者がホームレスを取材し始めたのはかれこれ15年ほど前。まだまだ山谷には活気があり、西成には1990年の暴動の際に焼き討ちされた乗用車が手つかずのまま転がっていた。
今回は取材で出会ったホームレスのおっさんたちが、筆者、そしてホームレス取材をやらせたら右に出る者はいないと言われる、ライターの村田らむ氏の胸に打ち込んだ珠玉の名言、珍言をここで紹介したい。
◆「わしはあれや、指名手配やからな。あんまり喋ると捕まるからな。この顔にピッ!ときたら110番や!」
関西某地区にあったテント村を取材していた際に知り合った50代のおっさん。指名手配のくだりはギャグだと思うのだが、けっこう本当に指名手配だったりすることもあるので聞けなかった。
◆「チッ!『わかば』かよ」
ホームレスの取材では、謝礼として煙草や酒(ワンカップの焼酎)を渡すと喜ばれる。だが、さすがに大人数に話を聞くとお金もかかるので、わかばやエコーを配ったのだが……。
◆「ホームレスを守る運動のため、来月は沖縄まで行く予定です」
名古屋で話を聞いたホームレスの男性は、強制撤去など行政と闘う活動家でもあった。沖縄だけでなく、大阪や東京などにも足を伸ばし、ホームレス同士で交流を深めているという。
沖縄行けるのかぁ~と思うと、ちょっとうらやましかった。
◆「さてはお前たち、スパイだな!」
関西某地区の公園でホームレスのおっさんから話を聞いていると、録音用のテープレコーダーを見ていきなり激昂。最初に「テープレコーダー回しますね」って言って、見せたのに……。
◆「昼間、体を動かさないと、夜、凍え死ぬぞ!」
上野公園にあったテント村で、ホームレスにまじって暮らした村田氏。テントを張る際、ボス格のホームレスに路上生活の極意を問うたところ言われたのがこちら。路上生活の厳しさを物語る一言である。
◆「今さら屋根付きの部屋じゃ寝れんよ」
上野公園で20年近く路上生活をしてきた男性。一度も施設に入ったり行政から援助を受けたりせずに生きてきた自負を語ってくれた。故郷の鹿児島に帰ることもできず、「(上野公園の)西郷さんの足下で死ねたらねぇ……」とポツリと漏らした。思わずもらい泣きしそうに……は、ならなかったけどね。
◆「何がシェルターだ! 馬鹿にしやがって! フセインじゃねぇんだからよ!」
行政が建てたホームレスのための支援、収容施設(シェルター)について話を聞くと、だいたい評判が悪い。まぁ、フセインの方がもうちょっとイイとことにいたと思うんだが……。
◆「お前ら! 写真なんか撮らなくたっていいだろ! イラストでいいだろ! 大体でいいんだよ! そんなことより、心に焼きつけろよ! ここで起きてる全てをよ!」
神奈川某地区で話を聞いていた若いホームレスが、突然怒りだし、それに釣られて周囲のホームレスも同調して村田氏に「帰れ! 帰れ!」の大合唱が始まってしまった。その際に言われた一言。なんだか感動的な言葉なのだが、カメラを出していたわけでもなく写真撮影もしていなかったのに……。そして帰ろうとすると「あれ? もう話聞かなくていいの?」と言われてギャフン。
⇒【後編】へ続く https://nikkan-spa.jp/242513
<文/テポドン(本誌) 協力/村田らむ>
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