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サラリーマン漫画家の「死ぬかと思った営業体験」

◆手塚治虫パロディ描いてる僕が手塚プロに営業に行くハメに……

田中圭一

田中圭一氏

 玩具メーカーの営業をやってた頃、ある問屋さんに集金に行ったら、渡された手形と小切手の金額が請求額より少なかった。こっちが認めていない返品伝票を勝手に切ってたんです。で、「おかしいじゃないですか!」って経理担当に迫ったら、奥の席にいた社長が出てきて「ほかのお客さんに迷惑だろ」って、いきなり襟首つかまれて変な小部屋に押し込まれた。

 この社長というのが、グラデのグラサンに白いスーツに赤いシャツという、いかにもソッチ系の人でね。机1つに椅子2つでいっぱいみたいな狭い部屋で社長と仕入れ担当者に挟まれて、“返品認めろ”攻撃ですよ。でも、何百万単位の話を入社2~3年目の自分の一存でOKとは言えない。「ちょっと上の者に連絡させてください」と言っても「話つくまでここから出さない」的な状況になって。あのときは怖かったですねえ。

 ソフト会社にいたときの冷や汗体験といえば、担当してた製品のパンフレットに僕が例の手塚治虫タッチで挿絵を描いていたんですが、なんと手塚プロから製品への問い合わせが。仕方なく先方に出向いて名刺渡しましたが、会社の名刺だから気づかれない。でも、パンフを配ったら、みんな「ん?」って眉間にシワ寄せて、もう一度名刺見て「お前かー!」みたいな。それまでは買う気満々だったのに、素性がバレてからはみんな無言になっちゃって、PCでデモをしてても全然乗ってこない。視線は痛いし、針のムシロでしたね。

【田中圭一氏】
漫画家兼会社員。手塚治虫タッチでお下劣ギャグを描くという神をも恐れぬ作風で知られる。代表作『神罰』『死ぬかと思ったH』ほか

― 背筋が凍る[会社の恐怖体験]大全【6】 ―

神罰―田中圭一最低漫画全集

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