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渋谷駅の真下。伝説の“宮益橋”の姿を追う

無数に存在する地下に関する都市伝説。陰謀、探検、秘密列車……。見えないからこそ興味はつきない。そんな地下の秘密を探るとともに、誰もが他人事ではない、「リアルな地下の恐怖」に追る! 【伝説の地下空間】 ◆渋谷駅の真下。伝説の”宮益橋”の姿を追う さらに藤本氏は、ごく身近な場所にも都市伝説となっている、地下トンネルの存在を教えてくれた。 「渋谷駅の地下には、渋谷川が流れる地下トンネルがあり、そのトンネルの一部には、かつて渋谷川に架かっていたという “宮益橋”が、いまだに残っているのです」 そこで取材班は地下トンネル探索を試みた。渋谷駅南口から歩くこと3分。歩道橋を渡り終えた直後に見える橋の下に、巨大な地下トンネルは口を開けている。 この渋谷川の支流は文部省唱歌「春の小川」の舞台にもなり、江戸時代には蛍を見ることができた清流らしい。だが現在はその面影はなく、暗渠として歴史を刻んでいる。トンネルの側面に延びる道幅は30cm程度しかなく滑りやすい。懐中電灯で足元を照らし、注意を払って進んでいった。 トンネルの上はどうやら道路のようだ。トンネル内には車が通過するたびに、ガタンガタンと音が鳴り響く。ときおり天井から水滴が首に落ち、奥へ進むほど道幅も狭くなっていく。なんとも不気味な空間。20分ほど歩けばその歩道すらなくなり、床一面に下水が流れる。足を濡らしながらも、奥へと進んでいった。 そして、さらに歩くこと15分。 半ば諦めかけ、懐中電灯であたりを照らした瞬間、それは視界に入ってきた。あたり一面のコンクリートに交じって、トンネルの天井を横に突っ切る赤褐色に錆びた鉄骨。その間からは橋の残骸と思われる朽ち果てた木材が見て取れる。これがあの伝説の宮益橋か!  さらに目を先にやってみると、黒いカーテンが一面に広がっている。どうやら宮益坂交差点を越え、この地下トンネルはさらに先まで延びている。近づきおもむろにカーテンを開けてみた。するとその瞬間、一気に蒸気と下水特有の悪臭が立ち込め、視界が完全に塞がれた。硫化水素のガスが滞留していたようで、一歩間違えば命の危機。すぐさまカーテンを閉めトンネル出口へと引き返した。 身近にも存在する地下空間。ロマン溢れる場所だが、訪れる際には十分注意してほしい。
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渋谷駅から徒歩3分。地下空間への扉が口を開ける
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奥深くには今も宮益橋の裏面らしき木材や鉄骨が(左)。 入り口から数分歩けばもう真っ暗闇で危険極まりない(右)藤本脩司氏
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遺構調査機構代表。全国各地100か所以上の地下通路などを探険しているエキスパート 写真提供/藤本脩司氏 ― [ニッポンの地下世界]のヤバい秘密【4】 ―
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