ドル高・円安「第2ステージ」とECB「無制限介入」
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少しドル高・円安の動きとなってきました。米金利上昇に連れた動きとの見方が一般的のようです。ところで、そんな米金利上昇に連れたドル高・円安は、次第に「第2ステージ」に移っていくのかもしれません。その場合の主役は、欧州不安のさらなる後退ではないでしょうか。
◆ドル高・円安を左右する「本命」は欧州不安
ドル/円と連動性の強い米金利は、長期金利の指標銘柄である10年金利が一時1.3%台まで低下するなど、歴史的な低下となりました。実は、これをファンダメンタルズで説明するのはとても難しいのです。
例えば、代表的な景気指標である「ISM製造業景況指数」という指標は、リーマン・ショック後の「100年に一度の危機」と呼ばれた局面で30ポイント台前半まで急落しましたが、米10年金利はそれでも2%までの低下にとどまったのです。
ところが、最近のISM指数は50ポイント前後で推移しているのに、米10年金利が1.3%まで低下しているわけですから、景気での説明を超えた金利低下といえるでしょう。
そんな米金利低下は、春以降、スペイン金利と逆相関関係となってきました。その意味では、米景気といったファンダメンタルズで説明困難な米金利低下は、欧州不安の影響で起こったといえるでしょう。
「逆も真なり」という言い方があります。欧州不安で起こった米景気で説明し切れない米金利低下ということなら、欧州不安が後退すれば米金利上昇に向かう可能性があるでしょう。
米金利は、米景気指標で改善を示すものが増えた結果、8月に入ってから比較的大幅に上昇しましたが、欧州不安こそがさらなる本格上昇の鍵を握っているのでしょう。
◆スペインとイタリアの類似、そしてECB「無制限介入」
その欧州不安の現在の主役はスペインです。だからこそ、さっき述べたように、この数か月、米金利が逆相関関係となってきたのは、現在の欧州不安の代理変数であるスペイン金利だったわけです。そんなスペインの前に、欧州不安の主役を演じたのはイタリアでした。イタリア10年金利は、債務危機の「危険ライン」とされる7%を昨年11月から今年1月にかけて断続的に上回り、当時の欧州不安において最大の焦点となったわけです。
興味深いことに、現在の欧州不安の主役であるスペイン10年金利と、その前の主役だったイタリア10年金利では、「危険ライン」7%突破前後の動きが非常によく似ています。危機が回避されたイタリアの動きをこの先もスペインが後追いするなら、10年金利は大幅な低下に向かう局面に移りつつありそうなのです。
今年1月にかけて、イタリアが危機回避となったのは、ECBが3年もの供給オペという「ECB版QE」に動いたことが一因だったとされました。実は、今回スペイン危機を回避するため、ECBは実質的に無制限でスペイン国債などを購入する「無制限介入」に近い政策を準備している可能性も取り沙汰されてきました。
こういった中で、スペイン金利がさらに大幅低下へ向かうなら、それと逆相関の米金利は上昇本格化で、ドル高・円安「第2ステージ」入りの可能性が高くなるのではないでしょうか。
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に
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