ユーロ対策へECBと「最強の女性」連携の舞台裏
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欧州債務危機問題は、最近の金融市場で積極的にリスクを取れない元凶となっています。その欧州債務危機について、欧州の中央銀行であるECBの対策が、ある程度成功するかもしれない期待が出てきました。それは、「欧州最強の政治家」であり「最強の女性」、独メルケル首相が、今回はそのECB対策を支持しているようだということも一因です。
◆欧州危機一段落でリスク選好復活となるか
ECBの欧州危機対策、債券購入案を巡って、独政府と独の中央銀行である独連銀の違いが鮮明になっています。それにしても、なぜ今回独政府、メルケル首相は「ECB支持」の立場になっているかというと、そもそもこれがメルケル首相が目指しているユーロ圏の財政同盟化、政治同盟化の第一歩になる可能性があるからなのでしょう。
7月下旬に、ドラギ総裁が「ユーロを守るために何でもする」といった「衝撃発言」を行ってから一か月経過しつつあるなかで、明らかになってきた一つは、それが「無条件」「無制限」ということではなく、むしろ厳しい条件、「コンディショナリティ」がついたものだということです。
この「コンディショナリティ」が明らかになるなかで、当初はそれが「無条件」「無制限」を期待した市場にとって失望を誘うものになったようです。ただ、冷静に考えると、「無条件」はモラルハザードをもたらしかねません。そして「無制限」は、ECBの著しい信用悪化を招きかねない。その意味では、本格的対策は、厳しい条件と一体でこそ、はじめてバランスが取れるものでしょう。
財政規律重視のメルケル首相が、今回「ECB支持」を繰り返しているのも、この厳しい条件、「コンディショナリティ」支持が基本になっているのはある意味で当然でしょう。
それどころか、今回のECB債券購入は、この「コンディショナリティ」を確認したうえで、スペイン、イタリアが支援を申請するという前提となっているのです。これは、結果的に財政主権が移行される意味になるため、まさにメルケル首相が目指している財政同盟化、政治同盟化の第一歩になるものでしょう。
以上のように見てくると、独連銀が反対しているのに、メルケル首相は「ECB支持」となっているのも、むしろ当然すぎることなのかもしれません。かくして、ECBは「最強の女性」と連携し、ユーロ危機対策を具体化する準備を進めているようであり、それは今回の対策が一定の成功となるかもしれない期待につながっていると思います。
むしろ問題は、実質的に財政主権の移管が始まることになる支援の申請を、スペイン、イタリアが行うかということでしょう。それでも支援申請の可能性が高まれば、独連銀抜きでもこのECB債券購入は実行される見通しになるでしょうから、欧州不安一段落で、世界の金融市場もリスクを取れる環境が戻ってくる可能性がありそうです。
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に
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