「PCが不調」など小さなイライラの蓄積は危険
―[日常の[イラッと]を科学する]―
◆震災や節電も?“デイリーハッスル”という新たなストレス
一日の大半の時間を過ごしている「職場」。ささいな「イラッと」でも毎日蓄積されると、大きなストレスとなり病やトラブルに発展することも。
「ストレスというと、これまではパワハラとかリストラとか、大きなものばかりが問題となってきましたが、最近は、『デイリーハッスル』が重視されてきています。『デイリーハッスル』とは、日常のごく小さなストレスのことです。例えば、『よくモノがなくなる』とか『職場が寒い』とか『パソコンが不調』とか、そういう細かいイライラは、一つずつはたいしたことではありません。しかし、それらが積もり積もると、意外に大きなストレスになるのです。そして、自分でも原因がよくわからないままに、すごくイライラしやすくなったりします」(心理研究家の津田秀樹氏)
職場の「イラッと」に関するアンケートによると、半数近くの人が「イラッと」を感じているのは「電話が鳴っても受話器を取ろうとしない同僚」(49.5%)。これについて、津田氏は次のように指摘する。
「『電話が鳴っても受話器を取ろうとしない同僚』へのイライラは、自分も取りたくないという理由もあるかもしれません。小さい頃から携帯を使ってきた世代では、誰から誰にかかってきたかわからない電話に出るのはストレス度が高いものです。まるで電話が初めてひかれた頃の人々の反応に近いのが面白いです」
次いで多かった意見は「コピー機やゴミ箱を蹴るなど会社の備品に当たる」(48%)。モノに当たるのは、周りをイラッとさせるだけじゃなく、「小者感」たっぷりで見苦しいこともお忘れなく。それに続くのは、「タメ口をきく後輩や部下」(40%)。タメ口で距離を縮めようなんて魂胆は、仕事の場面では当然ながら通用しない。一方、「上司から飲みに誘ってきたのにきっちり割り勘」(25.5%)も嫌われて当然?
また、「要領を得ない取引先のメール」(31%)を挙げる声も多数あった。何往復もメールするよりは対面、電話で直接伝えるほうが、結果的にトラブルを回避できそうだ。
そのほか、「やたらひとりごとを言う」(32%)、「やたらとため息をつく」(29.5%)、「席を外してしょっちゅう喫煙スペースへ行く」(27.5%)などを挙げる人も多数。加えて、「咳払いを何度もする人」(メーカー営業・男性)、「ノック式ボールペンをカチカチさせる&PCのエンターキーをやたら強く叩く」(医療事務・女性)など、何げなくやっている行動パターンやクセが、周りの人の「イラッと」の種になっているケースもあるから、注意が必要だ。
⇒職場の「イラッと」アンケート結果はこちら (https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=282310) 最近は、節電の影響から公共の場でも空調があまり効いておらず、不快さからイラッとしやすい条件にあるとも。 「既述のデイリーハッスルが増えているわけで、確実に以前よりイライラしやすくなっているでしょう。また、震災のように、自分ではまったくコントロールできないことに関するストレスはボティブローのように効いてきます。すぐにどうこういうわけではないですが、段々と深刻な精神状態になっていってしまう場合があります」 イラスト/ミラクル沼尾 ― 日常の[イラッと]を科学する【4】 ―
この特集の前回記事
ハッシュタグ