海産物の枯渇と穀物類の高騰で食品の価格が1.5倍に!?
レバ刺し規制に続いて国民に衝撃を与えた「ウナギの漁獲量が減って、そのうち食べられなくなるかも!」というニュース。これは「国が滅ぶのに近いくらい憂慮すべき事態」と言うのは、農産物流通コンサルタントの山本謙治氏。
「ウナギの漁獲量が減っているのは日本が世界中で獲り尽くしてしまったから。これはウナギに限らず、マグロなどあらゆる魚で起きていることです。西日本ではマグロの稚魚を『よこわ』と言って好んで食べるので、稚魚から乱獲される。数が減るのも当然ですよ」
<資源の保護>に関して言えば、日本はまるで後進国――と山本氏。
「欧米では、資源の量を自らの手でコントロールするという意識が極めて高い。一方、日本では水産国という自負が過度な安心を生んでしまったのかもしれません。獲りまくっても“資源を枯渇させている”という危機感がゼロなんです」
イワシやサバ、サンマの缶詰なども、この1~2年で実質上、価格が上昇しているが、大きな理由のひとつは魚自体が少なくなったこと。モラルなき乱獲は、ビンボーな食卓に打撃を与えている。
「さらに、今年、アメリカのコーンベルトで、50年に一度の大干ばつが起きたため、穀物の価格もすさまじいことになるでしょう。トウモロコシと大豆が高騰し、これに連動して小麦も高騰しますから、複合的にあらゆる食品が値上がりします」
いまや例年のように異常気象が発生し、作物の見込み生産自体が難しくなっている。製造原価も必然的に上がっていかざるを得ない。世界規模で食料が高騰する中、日本のバイヤーが、買い付けできなくなるという事態も発生している。
「そんな状況ですから、ここ5年のうちに食品価格全体の大幅な見直しが行われるでしょう。僕の予想では、1.5倍くらいになるのでは。いや、本音は『そうあってほしい』。食費って、削ろうと思えばいくらでも削れると思っている人が多いですけど、パンの耳をタダでもらって……みたいなことだって、社会に余剰があるからこそできること。食品工場から出るパスタの切れ端みたいな未利用資源だって、かつてはゴミだったのが、今では立派な家畜の飼料として売られているわけです。“楽しく工夫して1日の食費100円”みたいなことが、いつまでできるのか疑問ですね」
ちなみに、アメリカの一部州では低所得者への食費補助としてミールクーポンを配布しているが、その中身は「マクドナルドのタダ券」ということもあるという。ビンボー人の食卓に、明るい未来はなさそうだ……。週刊SPA!9/4発売号では「食」以外にも日本を滅ぼしかねないヤバいシナリオを掲載している。日本の未来が気になる方はぜひチェックしてほしい。 <取材・文/週刊SPA!取材班>
![]() |
『週刊SPA!9/11号(9/4発売)』 表紙の人/鈴木奈々 電子雑誌版も発売中! 詳細・購入はこちらから ※バックナンバーもいつでも買って、すぐ読める! |
【関連キーワードから記事を探す】
“世帯年収1750万円”なのに家計はギリギリ…?「ブランド品は“必要経費”」借金までして購入する妻の言い分
年収1000万円でも家計はギリギリで火の車?「車は国産、月2回の外食が精一杯」――大反響・苦しい生活トップ3
家族4人、都内で月10万円以下のギリギリな暮らし「昼飯はご飯に15円の納豆」――大反響・苦しい生活トップ3
月28万円3人家族のギリギリな生活。ディズニーは無理、外食は日高屋が限界――大反響・苦しい生活トップ3
「つみたてNISAはお得」と盲信してない?やってはいけない資産形成の“落とし穴”
「80トンの在庫を抱えて」中国の“禁輸”で過剰在庫のホタテ、余っていても“安く売れない”理由
サンマ不漁の原因は、本当に中国の乱獲か?
アワビやイセエビを密漁する暴力団・外国船。監視の切り札はドローン
マグロやウナギが食べられなくなる? 絶滅危惧種の漁獲量がいまだに高水準な理由
「当たり前にマグロが食べられる日本は異常」資源保護の意識の低さに外国人は困惑