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団結力なく金儲け優先?中国ネトウヨのショボい実像

中国ネトウヨ 週刊SPA!9月11日号では、「韓国ネトウヨ団体の恐るべき全貌」と題し、会員数7万5000人を誇るサイバー外交団体「VANK」の実態に迫った(https://nikkan-spa.jp/284729)が、一方、もうひとつの隣国・中国はどうだろう。尖閣諸島をめぐる事件や騒動で各地で反日デモが起きたことは記憶に新しい。果たして、中国にも巨大なネトウヨ組織が存在するのだろうか。『中国・電脳大国の嘘』などの著書があるノンフィクション作家・安田峰俊氏が緊急寄稿!  今年8月、香港人活動家の尖閣上陸事件をきっかけに中国で盛り上がった反日デモ。同月21日には中国全土で数万人がデモに参加し、一部が暴徒化する事態となった。だが、現地のネットを観察してみると、どうやら反日一辺倒でもなさそうだ。  例えば中国のミニブログ『新浪微博』が同月20日頃から開設した「日本製品をボイコットしますか?」というアンケートには、10日間で合計5万8000票余りの回答が寄せられたが、なんと「ボイコットしない」という回答が過半数以上の3万2000件を占めている。書き込みを見ると「日本は滅びろ」「日本製品は絶対に使わない」という強硬な意見もある一方、「そんなことやる意味あるの?」「自動車ブッ壊して愛国ですか(笑)」などと冷ややかな意見も目立つ。また、同月25日には、尖閣諸島が日本に帰属する理由が証拠付きで微博に流されて拡散、当局が火消しに動く一幕もあった。 ※「日本製品をボイコットするか?」ネットアンケート結果はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=289366
中国ネトウヨ

「日本製品をボイコットするか?」というネットアンケート。意外にも賛成/反対が拮抗している

 そもそも、中国の反日運動でネットが果たす役割は意外と小さい。一党独裁国家・中国では、市民の政治活動はたとえ反日デモでも当局への届け出が義務付けられており、それが許可されている時点で、申請者たちに何らかの「ケツ持ち」(=彼らの政治的正義を担保し、指示を下す当局側の人間)が存在すると考える方が自然なのだ。日本の在特会や韓国のVANKのように、ネトウヨや過激な保守団体がオフ会的に組織化してデモに走るのとは似て非なるものである。  反日デモにおけるネットの役割は、せいぜいデモの実施情報を拡散し、野次馬や飛び入り参加の人間を増やすことぐらいだろう。実際のデモ自体は暴力的なものになりがちだが、その主体は憤青(=中国版ネトウヨ)ではなく、群集心理でハメを外す野次馬たちである。  昨年夏、私は別件の取材で憤青とチャットをしたことがある。当初、靖国や尖閣の問題でこちらを罵倒していた彼は、やがて私と打ち解け出すと「日本の化粧品を輸入できないか?」と突然、商売の話をはじめ、思わずパソコンの前でズッコケそうになった。  他の良識的なネットユーザーに冷やかされ、自発的な組織化もできず、当人のカネ儲けに絡むとわかれば平気で日本人と商売の話をはじめてしまう中国の憤青たち……。日本や韓国のネトウヨ以上に、なんともお粗末感の漂うショボい人たちではある。 【安田峰俊】 82年滋賀県生まれ。ノンフィクション作家。立命館大学文学部卒業後、広島大学大学院文学研究科修了。当時の専攻は中国近現代史。一般企業勤務を経た後、いくつかの職業を経て二〇一〇年に『中国人の本音』(講談社)でデビュー。主著に『独裁者の教養』(星海社新書)、『中国・電脳大国の嘘』(文藝春秋)など。
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