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自然エネルギー自給率170%超の町に「放射能汚染土」を持ち込む愚

放射能 脱原発 核のゴミ 放射性廃棄物

港に建つ、自衛隊演習場誘致と引き換えに港整備をさせた自民党代議士の”功績”を称える碑

「福島の除染作業から排出される放射能汚染土の最終処分場の最有力候補が、鹿児島県の南大隅町である!」というニュースが8月23日の夕方、突然報道された。

 南大隅町は大隅半島の南端にある、人口9000人に満たない町だ。こんな小さな町に、福島で除染された汚染土が来る。突如降りかかった巨大な問題に、近隣の鹿屋市や鹿児島市内から駆けつけた参加者もあったが、会議室を埋め尽くした100人の参加者のほとんどは地元の人々だった。このような反対集会に過疎の田舎町で100人が集まるというのは異例のことだ。

 実は、かつて南大隅町には放射性廃棄物の処理場誘致を推進してきた経緯がある。’07年3月、町議会は原子力発電環境整備機構(NUMO)の職員を招いて、町長を含む町議会議員で勉強会を行っている。また、’09年には町内各種団体の長がつくる「南大隅町まちづくり推進協議会」から、高レベル処分場誘致のための勉強会を開催するべきとの陳情書が議会に提出されるという動きもあった。しかし、同年、森田町長はNUMOの招きで六ヶ所村の視察、続けて東電との会合を六本木で行っていた、という実務的な動きが明るみになったこともあり「今回の最終処分場問題も推進派と町長が癒着して裏で着々と進めているのではないか?」という不信感が、田舎町の腰の重い住人たちを、反対集会に足を運ばせる強い動機になっていたのである。

 問題の候補地となるのは、辺塚漁港から北に延びる急峻な山が連なるエリア。照葉樹の森が広がる美しい地域である。人口約100人、平均年齢は75才を超える辺塚集落には、その規模に見合わぬかのような辺塚漁港がある。

 この漁港は、自民党の代議士である山中貞則議員が防衛相時代に整備した港。港には、”山中代議士の功績を称える”記念碑が建っている。読めば、自衛隊の射撃場を近くに造るので迷惑代としてプレゼントされた旨の説明が書いてあった。自民党は昔からこのように田舎の人を手なずけて、好き放題に税金を使って、自分の懐にも収めてきたのだろう。

 大潮の干潮の時間、集落の浜では潮干狩りをする家族連れが、ミナとよばれる貝を捕っていた。子どもたちは歓声をあげながら手に持った袋をみるみる一杯にしていく。漁港でも数人の漁師が忙しそうに作業をしている。アサヒガニを捕ってきたという漁師は「なんでこんな自然が豊かな場所に、遠い福島からわざわざ廃棄物を持ってこなければならないのか理解ができない!」と話していた。

 それも無理はない。ここ、南大隅町は町内に設けられた南大隅ウインドファーム発電所では20基の風車から3万20000kwの電力を生み出し、水力発電と合わせて、自然エネルギー自給率が170%を超えるエリアなのだ。原発の電力に依存したことがないこの町に、核のゴミだけを押しつけようという、国の政策に対して、町民が反対の声を上げるのは当然のことだろう――――。

 週刊SPA!9/11発売号『全国に拡散する行き場のない「核のゴミ」』特集では、自然が残る南大隅町に降って湧いた汚染土の最終処分場誘致の話に困惑する地元住民の声を紹介。

 また、原発事故以前から全国に拡散していた放射性廃棄物の問題についてクローズアップしている。 <取材・文/樫田秀樹 田中裕司 遠藤秀一>

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