「成績表作成がつらい」教員が苦労を訴えるワケ。「内容に納得いかない」保護者からのクレームも
教員の業務は多岐にわたりますが、特に気を配らなければならない業務が成績表の作成です。
子どもたちも保護者も、成績表の内容を気にしているため、内容にはかなり気を遣って作成しなければなりません。最近では成績表に関するトラブルが話題となり、多くの教員がその苦労を訴えています。
この記事では、教員の成績処理に関する現状と、その背後にある課題について、元小学校教員である筆者が自身の経験も踏まえながら考察します。
成績表の内容は「評定」と「所見」です。「評定」は教科ごとの達成度を5段階や3段階で表したもので、観点別の学習状況「A・B・C」と併せて評価することが多いです。
「所見」は子どもたちのがんばりを、先生のコメントとして記載します。評定も所見も、学期における子どもたちの学習の成果を総合的に判断するものであり、作成には多大な時間と労力が求められます。
評定は、テストの点数や発言の回数などの単純な数値のみで決まるものではありません。学習意欲や発言の内容も評価対象になるので、教員は授業中、メモを取りながら子どもたちの学習の様子を評価します。
所見は、一人ひとりの学習状況や成長を保護者に伝える役割を果たします。そのため、正確で包括的な所見を作成することが求められますが、これが結構大変です。学習状況や行動を日々観察し、授業中や授業の合間にメモしておいて、それをもとに所見を作成します。
ただ、教員の業務量はかなり多く、現実的には所見作成を勤務時間内に完了させることはほぼ不可能と言ってもいいです。
多くの教員が定時後や休日に時間を割き、所見の作成に取り組んでいます。この時間外労働に対する対価は支払われていません。特に、年度末や成績表の締切が迫る時期には徹夜で作業をする教員も多く、その負担は非常に大きいものです。
一部の学校では、成績処理期間中は子どもたちを早めに下校させて成績処理の時間を確保したり、所見の項目を精選したりするなど、教員の負担軽減を図る取り組みもなされています。
高学年であれば、専科(音楽、家庭科などに専任で入ってくれる先生)からコメントをもらうことで、担任の負担を減らすなどの工夫もしています。
私が勤務していた学校では、成績処理期間中、子どもたちは給食を食べた後下校していましたし、所見の項目は「総合所見」のみでした。
成績表の書式や項目は学校ごとに違い、最終的には校長が決定します。
友人が勤務していた学校では、「学習所見」「道徳の所見」「外国語活動の所見」「総合的な学習の所見」をそれぞれ別の枠で書かなければならなかったため、成績処理期間中は毎日、日付が変わるまで作業していたそうです。このように、学校ごとに対応が異なるのが現状です。
教員にとって大きな負担となる成績表作成
成績処理期間中の対応は学校によって異なる
勤続10年の元小学校教員で、現在は民間企業人事部に勤める。会社員・副業ブロガー・Webライターの三刀流で働きながら、教員の転職・副業・働き方改革について発信中。「がんばる先生を幸せにする」のがモットー。X(旧Twitter):@teach_happiness
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