更新日:2017年05月18日 21:34
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仙台で不動産バブルが起きている!?

仙台を中心とした復興特需の影響で、被災地の不動産投資に注目が集まっている。建設業者の流入で人口は増加し、空室率は大幅に改善。そのため、不動産投資利回りも上昇しているというのだ。果たして、被災地では何が起きているのか。その投資事情をリポートする! ◆仙台のマンション空室率は全国平均を下回る6%台!
仙台,不動産

被災3県のなかでも、人口が流入して空室率が劇的に改善している仙台。復興特需はいつまで続くか、見極めるのも重要だ

「弊社の管理物件では空室率が1%。仙台では空き部屋自体がほとんどなく、退去者が出てもすぐに次の入居者が決まってしまう。仙台全体でも空室率は6%ぐらいじゃないでしょうか」  そう話すのは仙台の大手不動産会社・山一地所の増田和也氏。現在、全国の賃貸マンションの空室率が20%台といわれるなか、仙台はまさに「不動産バブル」と呼ぶにふさわしい状況が続いている。  要因は、言うまでもなく昨年の東日本大震災。被災者はもちろん、復興特需による建設業者の大量移住で仙台市の人口は震災後も増え続け、106万人を突破した。仙台市内を中心に9棟80室のアパート・マンションを保有する投資家のみさパパ氏もこう語る。 「大家は『何もしないで入居者が決まる』状態。家賃も上昇基調です。私は据え置きましたが、被災者にはファミリータイプだと月最大8万円の家賃補助が出る。値上げした大家さんもいます」 ◆満室続出のバブル発生で利回りも2~3%上昇!?  大手資本の投資も活発化しており、上場不動産投資信託(REIT)による東北への投資は’12年の上半期(7月末まで)だけで前年の6倍となる約114億円に達した。  だが、被災3県でも濃淡はあり、岩手や福島はもともと投資用物件が少ないため、さして状況は変わらない。そんななか、不動産投資に格好の追い風が吹いているのが東北一の都市である仙台だ。  仙台市内を中心に収益物件を仲介する業者アパートナーの高橋英司氏はこう話す。 「人気のある仙台駅や地下鉄始発駅周辺から外れた立地でも、建設業者が一棟借り上げたりしてほぼ満室状態。投資利回りにして2、3%は向上している印象です。関東在住の方から投資用物件への引き合いも多く、’15年には仙台市を東西に横断する新しい地下鉄も開業し、以前より売れています。少しでもいい物件が売りに出されると買い付けが3、4本は入る状況です」  これほどの活況であれば、掘り出し物の投資物件が市場に出回らない気もする。だが、仙台特有の事情が売買を活発化させている。 「仙台では34年前にも宮城県沖地震がありました。長く不動産オーナーをされている人のなかには『もう地震はコリゴリ』と物件を売りに出す人も多い。だから、いい物件も出回っています。不動産を取得するにはいい時期かもしれません」(前出・増田氏)  とはいえ、この復興特需はいつまでも続くわけではない。 「劇的に改善した空室率も、今後10年くらいかけて元の水準へ戻っていくと思います」(同)  さらに、今後は被災者が入居する復興住宅も完成する。 「3年後には仙台市内に2000戸の復興住宅や新築のマンションが完成予定。そうなれば空室率も高まってくるのでは」(高橋氏)  被災地の不動産を取得しても、売り時は見極めなければいけないというわけだ。 ⇒【後編】に続く「復興特需にわく[被災地不動産]の現実」
https://nikkan-spa.jp/304860
【みさパパ氏】 仙台市を中心にアパートやマンションなどを9棟所有し、年間賃料収入は4500万円を超える。大家さんのネットワーク「仙台大家さんの会」現地世話人 ― 復興特需にわく[被災地不動産投資]儲けの現実度【1】 ―
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