ミリオネアの夢を追え! ポーカー世界大会に挑戦【後編】

FXをはじめとする投資で連敗続きの週刊SPA!記者・スギナミが一縷の望みをかけたのがポーカー(正式名称はテキサスホールデムポーカー)。昨年9月頃より、オンライン、都内のアミューズメント店を中心にルールを覚え、自分なりに仕組みを理解したところで目を向けたのが海外トーナメント。毎年ラスベガスで開催される世界最大のポーカーイベント・WSOPだけでなく、世界中でポーカーのトーナメントイベントが行われているが、スケジュールの都合上、10月12日から韓国ソウル「パラダイス・ウォーカーヒルカジノ」で開催されるソウルポーカーカップに挑戦することにした。

⇒【1日目】の模様はこちら

【2日目】

 各テーブルを回って、残ったプレイヤーのチップ量を確認する。ざっと見た感じ、最高は7万5000点、最小は6000点くらいだろうか。

 開始時点のブラインドは600/1200のアンティ100。これはつまり、ゲームスタート時、場にだいたい2600近いチップが入っていることになる。配られた2枚のカードがどんな手であっても、タイミング良くレイズを入れて相手を降ろして、戦わずしてポットを奪う「スティール」、またはスティールに来たと思う相手にさらに上乗せレイズをしてそのチップを奪う「リスティール」が重要となってくる。初日の終盤に、チップを1万点にまで減らしたテキサスは、オールインの機会を虎視眈々と狙っているようだ(開始30分後に、オールインを受けられて破産してしまった、無念)。

 開始から3時間後、プレイヤーは30名にまで絞られている。ブラインドは1200/2400のアンティ200。自分のスタック7万5000点は平均よりも少し下である。開始2時間後のスタックが9万点であったことから焦りもあり、直近の2ハンドではJ5、K9というそれほど強くないハンドでスティールに成功している。

 そして配られたのはAQs。これは強いハンドといってもいい。期せずしてスティールの頻度が多くなってしまうことにキナ臭さも感じたが、場に5200点を出して、4番目のポジションからレイズ。

 フォールド、フォールド、フォールド、フォールド。よしよし、これも戦わずにスタックを増やせそうだ……と思ったのもつかの間、最後のフランス人プレイヤーから「オールイン」の声。すかさずディーラーにカウントを要求。コールするには上乗せして4万5000点が必要だ。

 この勝負に負けた場合のスタックは2万5000点と目も当てられない悲惨な状況に。逆に、勝てば13万600点。入賞が現実味を帯びてくる。ここは十分に時間を使いたいところで、まず考えたのが「相手のハンドは何か?」ということ。

 まず直感的に思ったのがペア全部。そもそも相手は中途半端なハンドで「負けたら敗退」のオールインを仕掛けるはずがない。これにはAA、KK、QQといった、こちらにとって絶望的に勝率が悪いプレミアムハンドも含まれるが、仮に22〜JJであっても、勝つ確率は50%。負けた場合の致命的ダメージを考えれば、降りるのが妥当なようだ。考えているうちに別の“オカルト的な都合のいい読み”が脳内をかけ巡る。

1:ここ最近の自分のスティールの頻度から、相手は自分を「屑手でブラフレイズをしている」と思っている。

2:スティールにオールインを返せば「降りる相手」だとテーブルの他のプレイヤーに思われたくない。

3:自分のレイズはAQsといった強い手であることを他のプレイヤーに見せつけたい

 1を考えれば、「相手は幅広い手(AJ以下など、自分のAQsに大きく負けている手、KQ、KJ、QJ、87sなどのスーテッドハンド)」の可能性もありそうな気がしてくる。

 また、コールして勝った場合、2、3で出来上がる自分のイメージから、ビッグスタックを得ると同時に、その後のプレイに有利に働くに違いない。

 考えれば考えるほど、コールが正しい気がしてくる……が、これが思考の罠だった。

ポーカー

台湾、フィリピン、シンガポールといった東南アジア諸国をはじめ、フランス、ロシア、ハンガリーなど世界各国からプレイヤーが集結。日本人プレイヤーも多く(30人くらい)、最高順位は見事3位入賞を果たしたイシハラマサノリさん。おめでとうございます

自分「コール」
ディーラー「オープン」


 相手が見せてきたのはKK。その瞬間、僕は頭の中で「そりゃそうだよね」と妙に納得していた(んなアホな)。勝率はAQs32%対KK68%。確率どおり、相手がダブルアップに成功。そして、僕のトーナメントはこの時点でほとんど終わっていた。

「ウォール街でトップトレーダーになれるチャンスが大きいのはプロのポーカープレイヤーである。リスク判断、決断力。トレーダーで成功するための必須能力を兼ね備えているからだ」(米ハーバード大、行動金融学のブランドン・アダムズ教授)

 ポーカーと投資には類似性があると言われるが、損切りの観点から僕のプレイを見返すと、「5200のチップを損切りできずに資産の半分以上を失ってしまった」といえる。もちろん、運良くAが落ちてKKを飛ばすこともあるが、その後のプレイの不自由感を思い返せば、やはりコールしてはいけないのだ。

ポーカー

2日目開始2時間の時点でのスギナミ。この頃はまだチップに余裕はあったが……。ちなみにカッコつけで持参したサングラスは場のカードが見づらいためプレイ中にかけることはなかった。撮影用におもむろに着用すれば、隣の女性ディーラーに苦笑される始末

 正直、その後のプレイについてはあまり覚えていないのだが、結局、開始から4時間、20位で敗退。トーナメントから1週間経ったいまでも、KKがめくられたあの光景が脳裏に蘇る。

 入賞できなければ20位も100位も同じ。上位10%に残らなければいけない、シビアなゲームだが、あのピリピリとしたテーブルの緊張感、会場の雰囲気はなかなか体感できるものではない。再挑戦を誓いつつ、我々はソウルを後にした。

<取材・文/スギナミ>




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