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本当にあったタクシー・ドライバーの話【オイシイ話編】

見ず知らずの人を乗せ、車という密閉空間で時間を共にするタクシードライバー。車内という閉ざされた空間は、たった数分であっても様々なドラマを引き起こすという。今回はそんなタクシードライバーの方々が実際に遭遇した悲喜交々の四方山話を集めてみた ◆棚ぼた体験
タクシー

タクシーの台数だけ、物語がある……(写真はイメージです)

 タクシードライバーにとってオイシイ客はなんといっても長距離。だが、バブルの頃と違って、最近では東京—横浜でも十分にオイシイというのだが… 「メシ食って昼寝しようと思ってウトウトしてたら、コンコンってノックされてドア開けたら『名古屋まで!』って、初老の夫婦がいきなり乗ってきたんだよ。眠気も吹っ飛んで、そのまま名古屋行ったの。片道14万くらいだったかな。チップで5万円で合わせて20万くらいになった」(40代・男性ドライバー)  オイシイ思いは何も超長距離だけではない。 「五反田で乗せたお客さんから横浜に行ってくれって言われて横浜まで乗せて、お客さんを降ろしたらお客さんが来たんだ。タクシーは管轄が違うと乗せちゃダメなんだけど、違う管轄から自分の管轄地域に乗せていくのはOK。それで、その旨を説明しようとしたら、『大丈夫です。品川までなんで……』って。ああいうのを無駄弾ナシっていうんだろうね」(50代・男性ドライバー)  この手の長距離客や、無駄のない乗車というのはドライバーをやっていれば一度や二度は体験することだとか。だが、究極のオイシイ思いはコチラだろう。 「六本木のホステスさん乗せて走ってたら、携帯で話し始めたのよ。で、そしたら急に泣き始めて、別れ話しをしてたみたいなんだ。電話切った後もずっと号泣でさ、結局、自宅のマンションに着いた時に俺もあんまり気の毒だから『いろいろあると思うけど、イイことありますから』って言ったら、寂しいからウチで一緒に飲んでって言うんだよ。俺もさ、『いやいや俺なんかじゃなくて、もっとイイ人いますから』って断ったら後ろからギュッって肩を持たれて『運転手さんがいいの……』って。まぁ、その後のことはご想像にお任せしますが、後にも先にもあんなにイイ思いはしたことないなぁ~」(50代・男性ドライバー)  都市伝説のような本当の話なのである。 <取材・文/テポドン(本誌)> ⇒【迷惑な客たち編】に続く
https://nikkan-spa.jp/339824
― 本当にあったタクシー・ドライバーの話【1】 ―
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