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株主優待“改悪”のワケ「食事券が現物支給(オリーブオイル)へ」

最近、株主優待制度を変更する企業が増え、投資家が振り回されている。優待制度が突然改悪され阿鼻叫喚の投げ売りが起こったり、優待新設の裏に不純な動機が隠れていたり……。株主優待見直しによる個人投資家の悲喜こもごもの声を紹介する! ◆オリーブオイルなど現物支給に改悪!
大神田貴文氏

大神田貴文氏

 個人投資家からの不満と怨嗟の声が渦巻いたのが、外食店サイゼリヤの“優待改悪”だ。 「優待の金額自体は同じですが、食事券から食材の現物支給に変わりました。新しい優待品として、オリーブオイルやワインなどが送付されます。100株(約11万円)だと2000円分の優待品がもらえますが、これまで1000株(約110万円)で2万円分の食事券をもらっている人も多くいました」(株式ジャーナリスト・大神田貴文氏)  今回の改悪で、「2万円のワインとオリーブオイルをもらっても……」「2万円分のオリーブオイルもらったら毎日がMOCO’Sキッチン状態」「もこみちでも使いきれない!」と、苦笑いとも怒りともつかない声が飛び交っている。会社側の公式発表では「当社株式の投資魅力を高めるため」とあるが、「クロス取引で優待券だけをゲットした客を締め出そうとした経営陣は優秀」という評価の声も。 ◆のり弁7個分が消えた「ほか弁」の改悪ショック  弁当店「ほっともっと」を運営するプレナスは露骨な改悪。年2回の優待券贈呈を1回に減らしてしまった。食べ物の恨みは恐ろしいというが、今期から500円券10枚が5枚に半減することになり、「のり弁7個分が消えた!」と、株主の怒りはやみそうにない。  しかもいつの間にか、のり弁が値上がりしており、「代わりに10円増配してほしい」「メタボ対策になるな」など、小口株主に“のり弁ショック”が襲いかかっている。 ◆人気優待が転売不可能に!? 「引きこもりトレーダーがディズニーに溢れるのか……」と一部投資家から懸念されているのが、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド。 「優待制度には何の変更もないのですが、金券ショップの買い取り停止の悲報に、転売狙いの投資家はパニックに陥っています」(大神田氏)  オリエンタルランドは100株(約100万円)保有の株主に1日パスポートを半年に1枚ずつ割り当てている。優良レジャー施設だけに金券ショップでの超人気商品で、いつでも換金可能だった。 「ところが、この秋に入場ゲートの機械が更新され、使用・未使用の判別がこれまでの穴開けからバーコードの読み取り方式に変わったのです。人間の目では使用済み券の見分けができないため、金券ショップが敬遠したわけです。一説には、“株主でもない優待客”を締め出すために、入場ゲートを更新したともいわれます」(同) ◆優待廃止で“墓場”となった燦HD  会社側の厳しいフトコロ事情がにじむケースもある。葬儀場を経営する、大証銘柄の燦HDはこれまで年3000円相当の「花とみどりのギフト券」を送ってきたが、来年3月末で打ち切る。  個人投資家からは、「大証には10万円以内で買えて株主優待もおトクな銘柄がいくつもあって穴場だったが、最近の大証銘柄は改悪ばかりで“墓場”だな」と恨み節が聞こえる。 「葬儀業界にも低価格化の波が押し寄せ、今期は3割もの大幅減益予想。年40円の配当を維持する一方、現金流出を少しでも減らすため、優待廃止に踏み切ったとみられます」(大神田氏) ※【中編】に続く⇒赤字で優待を始めて「タコ足優待株」と呼ばれる企業
https://nikkan-spa.jp/347646
【大神田貴文氏】 株式ジャーナリスト。国内大手証券を経て現職。金融・経済政策も強い。個別企業の裏情報も知る事情通 ― 株主優待[改善/改悪]の悲喜こもごも【1】 ―
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