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赤字で優待を始めて「タコ足優待株」と呼ばれる企業

最近、株主優待制度を変更する企業が増え、投資家が振り回されている。優待制度が突然改悪され阿鼻叫喚の投げ売りが起こったり、優待新設の裏に不純な動機が隠れていたり……。株主優待見直しによる個人投資家の悲喜こもごもの声を紹介する!【中編】 ⇒【前編】株主優待“改悪”のワケ「食事券が現物支給(オリーブオイル)へ」
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◆新薬開発に投資した資金が化粧品に…… 化粧品 株主利益の観点で疑問符がつく企業もある。東証マザーズのアンジェスMGは大阪大学医学部発のバイオベンチャー。遺伝子治療薬の開発などを掲げて10年前に上場したが、配当どころか、営業損益が黒字になったことさえないのに、化粧品などを贈呈する優待制度を始めた。 「株主還元に回す利益はなく、優待の原資は株主が預けた資金。しかも、決算短信では『企業存続に足る安定した収益源を有していない』と明記しているありさま。証券関係者は『タコ足配当』をもじって“タコ足優待”と呼んでいます」(株式ジャーナリスト・大神田貴文氏)  個人投資家は、「新薬の研究開発に期待して投資した資金が、化粧品になって戻ってきたよ!」と素直に喜べないようだ。 ◆「株主のため」と廃止・改善を繰り返す東急  迷走中なのが東急グループ。首都圏でマンションやビル管理を行う東急コミュニティは、これまで商品券を優待品として送付してきたが、今年10月末に廃止した。 「『株主の皆様への公平な利益還元』が理由で、デパートに行きにくい海外や地方の株主への配慮とみられます。ところがそのわずか10日後に、同社2位株主である東急電鉄が株主優待の拡充を発表。3000株以上保有する株主だけが優待の対象でしたが、1000株(約40万円)に引き下げました。いったい何がしたいのか、証券関係者は開いた口がふさがりませんでした」(大神田氏) ◆’12年は優待新設のラッシュの年に  今年は1年で50社以上「優待新設」が相次ぎ、話題になった。 「富士フイルムは戦後の東証再開時からの名門。国際優良株で海外投資家による持ち株比率が高いことでも知られたが、リーマン・ショックやギリシャ危機でその面影はありません。個人投資家に、欧米の機関投資家が売った株の受け皿になってもらうのが目的で新設されたのでしょう」(大神田氏) 「富士フイルムの技術を生かした独自のヘルスケア製品などがもらえました。体にどんな効果があるかは疑問ですが、株価には効果ありそうですね」と、優待をもらった投資家は喜んでいる。  優待制度の新設や拡充があったときは、ぬか喜びする前に背後の事情をチェックしたほうがいいだろう。優待をもらっても、それ以上に株価が下がってしまえば元も子もないからだ。 【大神田貴文氏】 株式ジャーナリスト。国内大手証券を経て現職。金融・経済政策も強い。個別企業の裏情報も知る事情通 ※【後編】に続く⇒批判の声も出ている「株主優待のあり方」
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― 株主優待[改善/改悪]の悲喜こもごも【2】 ―
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