ダルビッシュ先発濃厚!’13年MLB「全米開幕戦」のカラクリ
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レギュラーシーズンだけで年間2,430試合が行われるMLB。’13年、その栄えある1試合目の先発マウンドがダルビッシュに託される可能性が濃厚となった。
MLBの開幕は通常、全15カードの中から選ばれた1カードが先陣を切って開幕し、翌日に残りの14カードが各地で一斉に開幕する。特大の大玉花火を一発打ち上げたあとに、色とりどりの花火を連発する夏祭りのようだ。
MLBは先週、’13年シーズンの開幕カードを発表し、今季からアメリカン・リーグに移籍するアストロズとレンジャーズのテキサス対決がオープニングゲームに選ばれた。
全米ファンが注目する一戦に、話題性あるチームを持ってくるのがMLBの常套手段。昨年の開幕戦も、チーム名やスタジアムなど全てを一新したマーリンズの試合だった。今季からリーグを移るアストロズの試合が選ばれたのは、自然な流れといえよう。
この開幕戦はESPNで全米中継され、試合前には豪華ゲストによりプレゲームショーが催される。昨年のマイアミでの開幕戦には、一昨年限りでカージナルスの監督を退いたトミー・ラソーダや、’10年に引退した通算521本塁打の強打者フランク・トーマスらが集い、2時間に及ぶトークショーを開催。この様子はMLB公式サイトでもライブ配信された。
ビジネスを最大化するための日程の工夫は、米国の他のプロリーグでも見られる。
各チームが週に1試合を戦うNFL(アメフト)では、通常日曜日のデイゲームが中心の時間帯で各地の試合が行われるなか、毎週選ばれた1試合が月曜日のナイトゲームで行われる。「マンデーナイト・フットボール」と呼ばれるこの試合は、やはりESPNで全米中継される。
試合の希少性を高めビジネス上の旨味を出すことは勿論だが、マンデーナイトの本質的な価値は、「ブルー・マンデー(=憂鬱な月曜日)に楽しみを与える」ことにある。
スポーツの持つ独特の娯楽性を、社会に最大化して還元するという思想が根底にあるのだ。「スポーツ=エンターテイメント」という価値観が成熟した米国らしい考え方といえよう。
一方、NPB(日本プロ野球機構)ではパ・リーグが00年代前半に、セ・リーグが興行を行わない月曜日に試合を行う「マンデーパ・リーグ」を導入していた時期があったが、’06年に廃止された。
廃止の理由は、変則スケジュールによる移動の厳しさと、セ・パ交流戦の導入という、運営上の都合によるものだった。週1試合しか行われないNFLと単純な比較はできないが、ファン目線で「エンターテイメントとして価値を高める」という意識が不足していた感は否めない。
MLBがシーズンを盛り上げるために総力を注ぎプロデュースする開幕戦。その大舞台に先発する可能性が高い2年目のダルビッシュには、今年も日本だけでなく全米中から熱い視線が注がれることになりそうだ。
<取材・文/スポーツカルチャー研究所>
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