更新日:2013年03月03日 09:09
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近所の病院選びでヤブ医者を見抜くコツ

払ったお金以上に価値のある商品やサービスが提供されることを消費者は期待するが、世の中は往々にしてその逆。なにも考えずに店頭に立てば、百戦錬磨の商人相手に、ハズレを掴まされるケースが多々あるのだ。賢い消費者であるためには、どんな心構えと知識武装が必要なのだろうか ◆「近所でいいや」の病院選びが命取りに 病院 食べ物ならまずいの一言で済む話だが、命に関わる病院選びは慎重にいきたいもの。実際に治療を受けて人体実験する以外に有効な方法はないのだろうか。製薬会社のベテランMRである今井浩一さん(仮名・49歳)によれば、ハズレの飲食店を見抜く目が病院選びにも応用できるのだという。 「客の来ないラーメン屋がまずいのと同じで、患者が少ない病院は問題がある証拠。病院のドアを開けずに見分ける方法としては、休み明けの月曜日や花粉症のシーズンなど病院が混んでいるはずの時期に電話するのが有効です。空いていてすぐ受診できるという病院は、敬遠したほうがいいでしょうね」  また、在籍医がしょっちゅう代わる病院にも注意したい。 「大学は関連病院への影響力を強めるために医師を派遣することがあります。こうした医師はどうせ1年で異動だからという気持ちが強く、長いスパンで患者と付き合う姿勢に乏しい。腰を据えた診療をしてくれないことが多いですね」  病院の年間手術数も医者選びの参考になる重要ポイントだ。 「医療機器の発達によって医者間の技術差が少なくなってきているのですが、膵臓がんなど、より高度な技術を要するものは経験の差が如実に表れます。極端に手術数が他より少ない病院は避けるべきです。良心的な病院はホームページで手術数を開示しています」  かかりつけ医の良しあしについても知りたいところだ。医療ジャーナリストの田辺功氏が注目するのは診療科目の数だ。 「医師が一人しかいない小さな診療所なのに標榜科がやたらと多い場合、注意が必要です」  例えば、内科、リハビリテーション科、整形外科、皮膚科、耳鼻科、眼科すべてに精通していると主張する医師は誰が見ても怪しい。 「経験豊富な医者でも一人で持てる専門の数はせいぜい3つほどです。看板に掲げる科の数には一応、都道府県で制限があるんですが、罰則がなく強制力に乏しいのが実情です。だから経験がない科も申請して、標榜科を多くすることで患者を集めようとする医師が出てきたわけです」  引っ越し先などでかかりつけ医を探す場合などに、役立つ手段として覚えておきたい。 【田辺 功氏】 医療ジャーナリスト。朝日新聞編集委員を経てフリーの医療ジャーナリストとして活動。著書に『心の病は脳の傷―うつ病・統合失調症・認知症が治る』(西村書店)など イラスト/石井匡人 ― 「ハズレ」を掴まない技術【8】 ―
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