「熱狂の円安」、クロス円は年内もう終わった!?
<資料1>をご覧下さい。これは豪ドル円の5年移動平均線からの乖離率ですが、これを見ると経験的にはかなり豪ドルの「上がり過ぎ」懸念が強い領域に達していることがわかります。
※<資料1>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=392115
次の<資料2>はユーロ円の同じく5年線からの乖離率です。こちらは、昨年途中までユーロが「下がり過ぎ」限界域で推移していたところ、最近にかけてのユーロ急上昇により、その修正が急ピッチで起こったことがわかるでしょう。
※<資料2>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=392116
それでも、ユーロはまだ「上がり過ぎ」を拡大する余地はありそうです。また豪ドルだって、「上がり過ぎ」限界を超えたわけではなさそうです。それなら、年内さらに豪ドル円もユーロ円も高値(円安値)更新となるのでしょうか。
◆鍵を握る米ドル金利の急上昇
ただ気になるのは、対米ドルでの動きです。<資料3>は豪ドルの対米ドル相場が、適正価格の目安である購買力平価からどれだけ乖離しているかについて調べたグラフです。最近の豪ドルの対米ドル相場は、かつてないほど適正価格より割高になっている可能性があることがわかるでしょう。
※<資料3>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=392117
要するに、異例の豪ドル高・米ドル安が続いてきた可能性があるわけですが、その原因の一つは米ドル金利が歴史的な下がり過ぎになっていたことではないかと私は考えています。
その見方が正しければ、歴史的な米ドル金利低下が修正され、米ドル金利が大幅上昇に向かえば、異例の豪ドル高・米ドル安も本格的な修正に向かい、つまり豪ドルは米ドルに対して大幅に下落するリスクがあるのではないでしょうか。
要するに、豪ドルはもはや強い通貨ではない可能性があります。にもかかわらず対円で豪ドルが「上がり過ぎ」懸念領域に達したのは、米ドル高・円安の結果、つまり「弱い円」が主因でしょう。逆にいえば、「弱い円」が止まれば、豪ドル円の上昇も止まると思います。
これは、程度差こそあれ、ユーロ円にも似たようなことが言えると思っています。米ドル円だけは、さっき見たように異例の米ドル金利下がり過ぎ修正で米ドル金利が大きく上昇する中で、米ドル高・円安は、年内もさらに余力を残している可能性がありそうですが、クロス円は事情がかなり異なるのではないでしょうか。(了)
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi
●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/
●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
為替相場は、昨年秋からの3-4か月で円に対して主要な外貨が軒並み2割を大きく超える大幅な上昇となりました。ところで、この「熱狂の円安」、対米ドルはともかく、対ユーロ、豪ドルなど米ドル以外の外貨、いわゆるクロス円では、もう年内のピークをつけたかもしれないとの見方もあるのです。
◆米ドル円とクロス円は事情が違う
昨年10-11月頃、米ドル円は78円、ユーロ円は100円、豪ドル円は80円でした。それが最近までに、それぞれ94円、127円、97円まで上昇しました。要するに、米ドル円、ユーロ円、豪ドル円はいずれも最大で2割を大きく超える上昇(円安)となったわけです。
一方向へ2割以上動くというのはかなり大きな動きです。ただ不思議なことに、これだけ動くと、今度は動くことが当たり前といった感覚になってしまうのかもしれません。昨年夏頃までは、為替は動かないもの、とくに円安には限界があるというのが一般感覚だったと思いますが、今度は一転して米ドル円が100円になるのも時間の問題といった受け止め方になっているのかもしれません。
そういった中で、「いや違う、米ドル円はともかく、クロス円の多くは、もう今年の高値(円最安値)をつけてしまった可能性もある」といったらどう思いますか。要するに、「熱狂」、「狂乱」ともいえるような円安は、クロス円については、今年はすでに終わった可能性があるとしたら。
ただ、
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