更新日:2013年03月19日 09:06
仕事

会社ぐるみで口裏を合わせ隠蔽される「社内体罰」

◆隠蔽体質の中で体罰の立証は難しい
今中良輔氏

今中良輔氏

 桜宮高校の体罰事件から始まった流れで、どんどん明らかになっていく体罰の実態。 「学校でも会社でも体罰などのパワハラは、日本の教育文化として恒常的にあったと思います。今までなら当事者間でうやむやに終わらせたり、泣き寝入りして公にされなかったのが、体罰などのパワハラに異議を唱える方が増えてきて、公的機関が介入せざる得ないケースが増加した結果、社会的に問題視される状態になった」  そう語るのは、特定社会保険労務士の今中良輔氏。現在、会社における体罰はパワーハラスメント、通称“パワハラ”に括られる。暴力行為も含め、パワハラ被害の相談は後を絶たないという。 「当事務所では、リーマンショック以降、特に3、4年前から労働問題全般の相談件数が増えています。それに伴って、パワハラの相談件数も増加。幅広い年代から相談を受けますが、実は、40代の相談がかなり多いんです」  意外やバブル期に入社し、優遇されてきた人たちが、パワハラに悩むことが多いそうだ。今中氏いわく、「危機管理意識が薄く、標的になりやすい」という。 「ひどくなれば、会社に行けばパワハラに遭う、でも、家族を養っていくために会社は辞められない……ついには逃げ場を失って、自殺してしまう。そこまでいかなくても、ミスで上司から『指詰めるぞ』とか『コンクリート詰めにしてやる』などという言葉が飛び出すのです。こうした暴言は、教育のつもりで言ったとしてもパワハラになります。暴言の場合、誰でも加害者になりえるので、発言には注意が必要です」  そして社内体罰では、会社ぐるみで口裏を合わせ、隠蔽しようと企むこともあるという。 「上司がいきなり会議室に呼んで手を出しても、その事実を会社は一切認めないということもありえます。社内体罰・暴言は、立証が難しいことが多い。目撃者もおらず、証拠がない場合が多いですし、目撃者がいても自分への危害を恐れて証言してくれないほうが多いんです」 【今中良輔氏】 ’73年、兵庫県生まれ。甲南大学経済学部卒。’05年に特定社会保険労務士事務所オフィスADRを開業。今までに3500名を超えるパワハラ・労働問題の相談を受けている ― 教育現場よりヒドい![会社の体罰]被害者が叫ぶ悲痛な声!!【6】 ―
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