アベノミクスで地下経済は32兆円規模に【門倉貴史氏】

門倉貴史氏

門倉貴史氏

 地下経済とは、脱税や売春、違法ドラッグ、闇金融、賄賂など公式の経済統計には一切、出てこない隠れた経済活動のことを指す。

 簡単に言えば、領収書のない世界が地下経済である。

 通貨的アプローチという手法を使った筆者の推計結果によると、日本の地下経済は’80年代後半のバブル期に急成長したが、バブル崩壊以降は縮小傾向で推移している。直近の’11年における地下経済の大きさは約18.9兆円(オモテ経済に対する比率で4.0%)だ。

 過去のデータを詳細に分析すると、利下げなどの金融緩和策によってバブルが発生し、世の中にお金があふれ返ると、余ったお金が売春や違法ドラッグなど非合法の経済活動にも流れ込み、地下経済が不気味に拡大するというパターンが観察される。また、バブル期は景気がよいので、収入がアップする人が増えるが、我が国の個人所得税は収入増になるほど税負担が重くなる仕組みだ。そうすれば、脱税のインセンティブも高まることになる。

 だとすれば、今回のアベノミクスでも、脱税や犯罪などで地下経済が拡大してくる可能性が高い。というのも現在、アベノミクスの一環として、黒田東彦日銀総裁のもとで未曽有の金融緩和政策が実施されており、すでに資産市場にはバブルの気配が漂いはじめているからだ。場合によっては、’80年代後半のバブル期と似たような状況になるかもしれない。それに伴って、日本の地下経済が再度拡大してくるとみられる。

 では、アベノミクス効果によって地下経済はどれぐらい膨らむのか。’80年代後半のバブル期と同じような状況になるという前提を置いて筆者が試算をしたところ、日本の地下経済は直近の18.9兆円から12.9兆円増加し、31.8兆円規模になるという結果が得られた。アベノミクスには、景気を回復させるだけでなく、地下経済の大きさを1.69倍の規模にまで膨らませる効果もあるのだ。

【門倉貴史氏】
’71年、神奈川県生まれ。経済評論家。銀行系シンクタンクなどを経てBRICs経済研究所代表に。近著に『「夜のオンナ」の経済白書』(角川書店)。テレビやラジオでも活躍中

取材・文/SPA!地下経済取材班 写真/AFP=時事
― アベクロ効果で[地下経済30兆円]の大復活【9】 ―

「夜のオンナ」の経済白書

世界同時不況と「夜のビジネス」




おすすめ記事