飯島参与“電撃訪朝”の意図は? 特定失踪者問題調査会代表のブログが話題に
飯島勲内閣官房参与の“電撃訪朝”が波紋を広げている――。
16日、韓国外交部の趙泰永報道官は、「飯島氏の訪朝はプラスにならない」と懸念を表明。日中韓を歴訪中のグリン・デービース米政府特別代表(北朝鮮担当)も「聞いてなかった」と不快感を口にした。対北朝鮮政策のすり合わせを急ぐため、関係各国が足並みを揃えなければならない大事な時期、ともすれば、日本が米韓を「出し抜いた」ようにも見て取れる飯島氏の訪朝が、今後の日米韓協調にマイナスに作用するのではないかという論調も出始めているのだ。
確かに、2002年の9・17小泉訪朝の際は、後に「秘密外交」と批判にも晒された田中均アジア大洋州局長(当時)による長期間にわたる“地ならし”の末、日朝トップ会談に漕ぎ着けた経緯があるため、今回の訪朝は少々「拙速」にも映る。昨年末に誕生したばかりの安倍政権が秘密裏に動いていた時間には限りがあり、当時とはまったく趣の違う朝鮮半島情勢を見ても、十分な根回しがなされているとは言い難い状況だからだ。
ただ、長年滞っていた拉致問題解決の糸口になるのではという期待がでてきたのは間違いないだろう。今回の訪朝に驚きを隠せなかったという、拉致被害者・横田めぐみさん(行方不明時13歳)の母、早紀江さんは「これをきっかけにして(事態を)動かしてほしい」と、飯島参与訪朝当日の14日、記者団に語っている。
実は、今回の訪朝が報じられた14日の夜、特定失踪者問題調査会代表で拓殖大学海外事情研究所教授の荒木和博氏が、自身のブログに「飯島参与」と題した記事を掲載したことがツイッターで話題となった。
「飯島氏は言うまでもなく小泉政権当時の総理秘書官として、11年前の小泉訪朝を裏から支えた人だけに儀礼的なものではないでしょう。そもそも順安空港での写真まで出ているのですから秘密でも何でもなく、逆に何かアピールする必要があるということでしょう」こんな所見から始まる記事は、今回の電撃訪朝の舞台裏について、興味深い見識を披露している。
「私は先日の総連本部の入札に関して安倍政権が拉致被害者のうちの何人かの帰国との取引を行っていたと思っていました。それをやるとすればこの人(編集部注:飯島参与)か北村滋・内閣情報官が関わっていてもおかしくないと考えたのですが、一段落ついた後の、しかも外務省からすれば『渡航自粛地域』への渡航。外務省を無視してか、あるいは外務省も了解したのか分かりませんが気にはなります」
荒木氏の言う「総連本部の入札」とは、先ごろ、宗教法人最福寺(鹿児島市)が落札していたものの、「資金調達ができなかった」という理由から購入を断念。その後、7月に改めて再入札が行われるという総連ビルの土地・建物のことを指していると思われる。つまり、この今もって宙に浮いた“ワケあり物件”を取引材料に、拉致問題解決の切り札に使おうと今回の電撃訪朝が実現したのではないかという見立てなのだ。
さらに、荒木氏のブログはこんな記述もあった。
「少なくとも北朝鮮という国の性質からすれば飯島氏のような人が好きであることは間違いないので、何らかの話し合いには乗るのかも知れませんし、あるいは 飯島氏の訪朝が陽動戦術で、別のところで何かが動いているのかも知れません。とにかく今後の動きを注目したいと思います」
荒木氏の推測通り、飯島参与は、当初宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使と交渉に当たると見られていたが、実際は、宋氏よりも“格上”と言われる対外部門の最高幹部・金永日朝鮮労働党書記、さらには、「序列第2位」の金永南最高人民会議常任委員長とも会談したと報じられた。
帰国後、飯島参与は何を話すのか? しばらくの間、緊張を持って事態を見守る以外ないだろう。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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