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悲観論を尻目に「逆噴射」、株バブル再燃の可能性

吉田 恒

吉田 恒氏

 6月に入って円急騰、株暴落となって、アベノミクス期待が大きく動揺してきたようです。ただこのまま円一段高、株一段安へ向かうかといえば、それもどうでしょうか。私は今回株暴落の中では、少し勘違いされていることもあると思っています。そんな私の見方が正しければ、株安も一筋縄ではいかず、日経平均が再び大きく上昇する、「逆噴射」の可能性だって一時的にはあってもおかしくないのではないでしょうか。 ◆「FRBショック」勘違いが確認されたら、どうなる?  今回、円安、株高が急反転したのは、FRBの金融政策変更を警戒し株が急落し、リスク回避が起こった結果が円高をもたらしたという理解が一般的なところでしょうか。それではなぜ、米株より日本株の下落が大きくなったのでしょうか。  米株の下落が比較的限定的にとどまっているということからすると、実はFRBの政策変更に対する警戒というのは、いわれているほどまだ本格的なものではない可能性があるのではないでしょうか。  仮にそうだとしたら、なぜ日本株はこれほどの大幅安になったのか。<資料>は日経平均の90日移動平均線からの乖離率ですが、一時乖離率がプラス20%を越えるなど、記録的な上がり過ぎになっていたことがわかります。その意味では、日本株の大幅安は、上がり過ぎの反動によるものだったでしょう。 ※<資料>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=454275
バブル

<資料1>

 日経平均の90日線からの乖離率は、この大幅安を受けてほぼゼロ近くに縮小しました。つまり、上がり過ぎはほぼ是正されたようです。すでに見てきたように、実はまだFRB政策変更への警戒が本格的なものではないなら、上がり過ぎが是正された日経平均は、下落余地も限られるようになるのではないでしょうか。  それどころか、もう一度上がり過ぎ再拡大に向かう可能性もあるのかもしれません。そもそもFRB超金融緩和策の中で、アベノミクスに勢いづいて記録的な上がり過ぎになった日本株だったわけですから、FRB政策変更への警戒感がないなら、上がり過ぎの再拡大、1万5000円への「逆噴射」が起こる可能性すらあるのかもしれません。(了) 【吉田 恒氏】 1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。 2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。 著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など ●ツイッター http://mobile.twitter.com/yoshida_hisashi ●毎週動画 http://www.m2j.co.jp/fx_channel/ ●FXの学校「アカデミア」 https://www.m2j.co.jp/mp/my_fxacademia/
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