更新日:2013年08月09日 17:31
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誤報に困惑。緊急地震速報の的中率はどれくらい?

 8月8日午後4時56分ごろ、奈良県と大阪府で最大震度6弱から7程度の揺れが起きると緊急地震速報が発表された。JR東海が新幹線の運行を一時運休したほか、携帯電話から鳴るアラート音に一時騒然となった。しかし、実際は震度1に満たない、揺れを感じない地震であったことが判明。  誤報であることを安堵する声があがっている一方、「誤報が続くと信頼度が下がってしまう」と、不安視する声も。緊急地震速報の精度はいったいどの程度高いのだろうか?  気象庁が発表している「気象庁業務評価レポート(平成25年度版)」によると、平成24年度の的中精度は79%。的中の定義は、緊急地震速報で震度4以上を予想した地震について、予想誤差±1以下におさまる地域の割合とされている。ちなみに、数値が公表されている平成19年度以降の推移は下記のとおり。 ◆緊急地震速報の年度別的中精度 平成19年度 77% 平成20年度 82% 平成21年度 76% 平成22年度 28% 平成23年度 56% 平成24年度 79%  平成22年度のみ大幅に下落している理由は、東日本大震災で相次いだ余震により、誤って判断するケースが多発したことにある。それ以降、プログラムを改修したことで、再び的中精度は向上した。現在では、平成27年度に85%以上の精度にすべく、様々な取り組みが行われている。  気象庁は、過去の発表についての評価や改善状況をWebサイトにて公表しているほか、「緊急地震速報評価・改善検討会」の会議資料を公開している。資料には、観測された最大震度と警報発表時の震度の比較検証、発表状況と見逃し・空振り状況などが掲載されている。
緊急地震速報評価・改善検討会

緊急地震速報評価・改善検討会(第4回)資料「緊急地震速報の発表状況について」より http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/Meeting_HYOUKA/04/siryou1.pdf

 気象庁が行った調査によると、「緊急地震速報を見聞きして強い揺れが来ると思った」人は45%と精度と比べて低いものの、「役立つ」と回答した人は65%という結果となっている。主に緊急地震速報の発表会数の多い関東・東北がポジティブ評価が7割を超えており、期待を感じる。  いっそうの精度向上を期待しつつ、我々は緊急地震速報の精度に関わらず、常日頃からの地震への備えをしていきたい。 <文/林健太> ●気象庁業務評価レポート(平成25年度版) http://www.jma.go.jp/jma/kishou/hyouka/hyouka-report/25report/25report_index.html ●緊急地震速報評価・改善検討会(第4回)平成25年7月11日 http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/Meeting_HYOUKA/04/index.html ●緊急地震速報の利活用状況調査結果(概要) http://www.jma.go.jp/jma/kishou/hyouka/manzokudo/24manzokudo/24manzokudo_kekka.pdf
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