「地球上最高のクローザー」上原旋風、米球界を席巻
https://nikkan-spa.jp/370650)にも登場してくれた、38歳のベテラン右腕。地区優勝に向けて首位を快走するチームの絶対的守護神として神懸かり的なピッチングを続ける今、米球界で一躍脚光を浴びる存在となっている。
◆「ウエハラはニンジャ」「ビデオゲームのよう」
大手スポーツメディア『FOXスポーツ』の看板レポーターであるケン・ローゼンタール氏。6日に掲載された自身のコラムで、様々なデータを用いて上原の凄さを紹介している。
「速球の平均球速は89.2マイル(約144キロ)にすぎず、10セーブ以上挙げているクローザーの中ではメジャー全体で2番目に遅い球速でありながら、メジャー3位の空振り率36.3%を記録している。また、スプリッターを投じたときの空振り率は43.4%で、200球以上スプリッターを投じている投手の中ではメジャー2位。奪三振と四球の割合はほぼ10対1だ」
同コラムでは、レッドソックスのジョン・ファレル監督やチームメイトのコメントも引用。ファレル監督は上原の投球術について「正直、彼は“シックス・センス”(第六感)を持っているように感じる。相手打者が何を狙っているか、いつもわかっている」、またキャッチャーのデービッド・ロスは一言「彼はニンジャだよ」とコメントしている。
スポーツ専門メディアの『ブリーチャー・レポート』も、レッドソックスにとって上原の獲得は「今季最高の補強だった」と紹介。「ウエハラがいなかったら、レッドソックスの順位は今頃どうなっていただろう?」「ビデオゲームのような成績を叩き出している」と、惜しみない賛辞を送っている。
ボストンの地元メディア『WEEI』でレッドソックスの取材を担当する記者に至っては、「ウエハラがマウンドに上がると、最後のアウトを待たずして原稿を送ることができるから仕事が楽になる」と綴り、上原を「地球上最高のクローザー」と絶賛した。
『WEEI』と同じく地元メディアの『ボストン・ドットコム』は、5日の試合で解説を務めていた元レッドソックスのクローザー、デニス・エカーズリー氏が、上原の一球一球に対して発したコメントを紹介。通算390セーブを挙げた同氏も上原のピッチングを「ストライク・マシンだ」「最高のスプリッターだ」と手放しで絶賛していた。
◆自身のブログでは異例の「セルフ投球解説」
あげ出すとキリがないほど、現地メディアから称賛されている上原。現地報道ではその成績も去ることながら、上原のユーモア溢れる発言や人間性も度々紹介されており、辛口で知られるボストンのメディアとも良好な関係を築いている様子が伺える。
その一方で上原は「ダル、上原……MLB選手に軽んじられる日本メディア(https://nikkan-spa.jp/435182)」でも紹介したように、日本のマスメディアに対しては必ずしも好意的ではないようだ。自身のツイッターやブログでは度々、日本メディアの報道内容や姿勢を批判している。
マスメディアを通じててはなく、自分の言葉を直接ファンに伝えたいとの思いからか、上原は自身の公式ブログをほぼ毎日更新している。登板した日は、必ずその日のピッチングを打者毎に振り返る。
ブログやツイッターがアスリートにも浸透した今日といえども、トップアスリートが自身のプレーについて自らの言葉で発信し続けることは極めて珍しい。抑えた日も打たれた日も(最近は打たれる日がないのだが)必ず更新するその姿勢は、現代アスリートの鏡といえよう。
MLB日本公式サイト『MLB.jp』では、上原本人の投球解説と共にその日の全球映像も併せて見ることができる。「地球上最高のクローザー」のピッチングを、本人自らのセルフ解説と共に堪能してみてはいかがだろうか?
●上原浩治オフィシャルサイト http://www.koji-uehara.net/
●上原浩治の投球解説(全球映像付き) http://gyao.yahoo.co.jp/mlb/columnueharalist/
<取材・文/スポーツカルチャー研究所>
http://www.facebook.com/SportsCultureLab
海外スポーツに精通したライターによる、メディアコンテンツ制作ユニット。スポーツが持つ多様な魅力(=ダイバーシティ)を発信し、多様なライフスタイルを促進させる。日刊SPA!ではMLBの速報記事を中心に担当
「歴代最高のクローザー、リベラが打たれ、地球上最高のクローザー、ウエハラが抑えた」
現地時間9月5日に行われたボストン・レッドソックス対ニューヨーク・ヤンキース戦。ヤンキースは今季限りでの引退を発表している守護神、マリアーノ・リベラが9回のマウンドに上がったが、1点のリードを守り切ることができず試合は延長に。後続の投手から1点を勝ち越したレッドソックスは、守護神の上原浩治がピシャリと3人で抑え、シーソーゲームを締め括った。
翌6日の試合にも9回のマウンドに上がった上原は、2番デレク・ジーターからの好打順を僅か12球、3人で片付けた。これで上原は、圧巻の24試合連続無失点。さらに、8月17日のヤンキース戦から9試合にまたがり27人連続で打ち取る“完全試合”を達成した。
今季途中からクローザーに抜擢された上原は、9月6日時点で64試合に登板し3勝0敗18セーブ、防御率は1.12という凄まじい成績を残している。89奪三振に対して四球は僅か9。1イニングあたりに許すランナーの数を表すWHIPは0.59で、このままシーズンを終えると50イニング以上投げた投手としてはメジャー歴代最高記録となる。
今年1月には週刊SPA!「エッジな人々」(「上原浩治がもみあげを剃った理由とは?」→
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ
日刊SPA!の人気連載