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「部長の席でぬいぐるみと写メ」はイタい?普通?

何の気なしに口にする「フツーだったらさ~」というフレーズ。でもちょっと考えてみてほしい。その“フツー”って何だ? 平均か? 常識か? 大多数という意味か? 前提を共有しているからこそ成立する「普通」。所属する業界やグループごと、普通もいろいろなのだ

<お仕事編>

 コミュニケーションの基本、挨拶ひとつとっても普通がいっぱい。

常識「前の会社では、挨拶はいつでも『お疲れさまです』だったが、今の職場は朝は『おはよう』、昼は『こんにちは』、帰りは『さようなら』」(28歳・司書・女)だったり、「現場に入ったときの挨拶は何時だろうと『おはようございます』」(36歳・役者・男)だったり。

 社風と言ってしまえばそれまでだが、「社員同士あだ名で呼び合います。名刺にも『マッキー』とか『ジョー』とか書かれている」(34歳・音楽・男)、「上司ともフランクですね。部長の席でぬいぐるみと写メ撮ったりしてもOK」(30歳・ゲーム・女)な会社では、異邦人だ。

 もはや、ビジネスマナーも一概には説けない。「社内メールの宛名は、部名の次に社内課名を正式略称で入れ、名前でその後に役職。この役職にも正式略称があり敬称は殿」(42歳・製造・男)というカッチリ企業あり。かたや、「ペーペーの僕からも、社長にメッセンジャーを投げることもフツーにあります」(25歳・IT・男)というスーパーライトな職場あり。

 ITやゲーム業界では「隣の席でもメッセンジャーを使う。コミュ障なのもあるかもしれないが(笑)、記録に残すという意味がある」(43歳・ゲーム制作・男)と言われたら、なるほど納得。

 が、その一方で「みんなデジタルに弱いのでアナログ。飲み会のお知らせやその出欠確認は回覧板が回ります」(35歳・製造・男)という業界も。ちょうどいい塩梅というのが、普通じゃないの?

 キャリアの考え方も「30~40代なんて半人前、50~60代でようやく中堅」(40歳・靴職人・男)という世界があれば、「3年ごとに転職、がフツー。ひとつの事務所で3年経験を積んで、ステップアップできる事務所に移るか独立」(26歳・デザイナー・男)という移り変わりの激しい世界もある。さらに特殊なのが大学教員で……。

「大学を移るときに移籍先の待遇がわからないのはフツー。特に私大への移籍では最初の給与明細をもらうまで自分の給与がいくらかわからないということも少なくなく、移った後に年収が100万円単位で下がることに気づいたという話もよく聞きます」(37歳・男)

 さらに「学部によっても違うし、例外もある」としながらも、普通なら大歓迎の昇進が嫌がられることもあるとか。「助手→助教→講師→准教授→教授と昇格するのを嫌がる人も珍しくありません。大学運営の仕事が増え、研究時間がなくなるので」とのこと。象牙の塔には象牙の塔の普通があるのだ。

― そのフツーは「普通」なのか?【1】 ―




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