パワハラで2度休職、転職で250社に応募…“生きづらい発達障害”の人が生み出した「驚きの仕事術」
発達障害の人たちに対する理解が広がっている昨今だが、いまだに労働自体に難しさを覚える当事者も少なくない。発達障害のひとつのADHD(注意欠陥・多動症)の診断を受けた小鳥遊さん(たかなし・47歳・@nasiken)。
その特性を克服するために「紙1枚(エクセル1ページ)」でできる仕事管理手法を開発し、今では一般企業でもコンサルティング講師を行うほどだ。2024年9月には『発達障害の僕らが生き抜くための「紙1枚」仕事術』を上梓した小鳥遊さんに、その仕事術が生まれた経緯を聞いた。
東京都の多摩地区で育った小鳥遊さんは、大学時代までは何の不自由もなく日々を送っていた。
「自分では、トロい・頭の回転が遅いとうすうす思っていました。だけど、学生時代は勉強ができたので、うまくいっていると思っていました」
いわゆる高偏差値の名門私立大学の法学部を卒業し、司法書士試験を目指す。しかしなかなか合格できず、6年目にして、ようやく成績も上位になった頃、司法書士事務所でアルバイトを始める。
「ただ、ミスが多かったり集中力が続かなかったりして、仕事が致命的にできずに、2~3か月で辞めてしまったんです。当時27~28歳でした。それで、すぐに不動産屋のアルバイトをしたのですが、ふたたび仕事ができず、それが原因でパワハラに遭い、辞めました。何で自分は仕事ができないんだろうとショックで、人生が経験した初めての“底”でした」
そんなとき、パソコンで自分の困りごとを検索していると、発達障害という言葉がやたらとヒットしたという。そこで、都内の発達障害支援機関に相談すると、発達障害に詳しい診療所を紹介してもらえた。下った診断はADHD(注意欠陥・多動症)だった。
「ショックでしたが、それ以上に納得感や安心感がありました。その診療所のソーシャルワーカーに、障害特性に配慮してもらえる“障害者雇用”というものがあると聞きました。それで司法書士試験は諦めて、障害者雇用で某IT企業に就職したんです」
ADHDの人は、一般的にマルチタスクが苦手だというが、小鳥遊さんも同じような経験があったそうだう。
「就職先のIT企業はマルチタスクな業務内容でしたが、上司や同僚がいい人たちで、先輩のタスクの切り出しもうまかった。3~4年は精神的にも安定して働くことができました。障害者雇用とはいっても、一般的な新卒よりも、少し給料はよかったです」
アルバイトで全く仕事ができない
診療所でADHDだと診断される
立教大学卒経済学部経営学科卒。「あいである広場」の編集長兼ライターとして、主に介護・障害福祉・医療・少数民族など、社会的マイノリティの当事者・支援者の取材記事を執筆。現在、介護・福祉メディアで連載や集英社オンラインに寄稿している。X(旧ツイッター):@Thepowerofdive1
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