「クロダは黙認」、海外筋ドル売り推奨の理由

吉田 恒氏
4日の日銀会合、そしてその後の黒田総裁による記者会見は、そんな境界線、96円台までドル安・円高に戻ってきた中で行われた。このため一部の市場関係者の間では、円相場に対する黒田総裁の姿勢を吟味するべく、密かに注目されていた。
一部で注目されていたのは、追加緩和の前倒し示唆があるかということだった。最近の黒田総裁は、「消費増税で予想外に景気が減速すれば、追加緩和を躊躇しない」という表現を原則として使っており、これは消費増税後、来年5月以降の追加緩和見通しと受け止められていた。
直接的な円高懸念はないにしても、この追加緩和を、増税の事前に行うことを示唆するようなら、それは暗に「境界線」を超えて95円よりドル安・円高に戻る動きの回避を意図している可能性があった。
しかしそういった発言がなかったどころか、むしろ消費税率引き上げに伴う5兆円の経済対策については、「かなりの成長率のプラス要因」と評価する発言があった。こういったことを、海外投機筋などの一部は、95円よりドル安・円高に戻る動きが起こっても静観する暗示と受け止めたようだ。
週末には、複数の米系金融機関などからドル円の売り推奨レポートが出たとされるが、この背景には、「黒田会見」を受けた判断もあったようだ。(了)
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
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