日本の公衆無線LAN、現状は「改善の余地あり」
五輪開催決定など、訪日旅行者の増加が期待されるなか、日本のWi-Fi環境への不満の声は多い。諸外国の事情と比較し課題を探った。
◆日本の公衆Wi-Fi事情
最も気軽に使えるのは飲食店が独自に提供しているもの。次いで交通機関だ。ただし、後者はメールアドレスの入力やアプリのインストールが必要となる。他は事前契約を要するものが多い。さらに、近年ではコンビニや観光スポットなどにも広まってきている。海外のモバイル通信事情に詳しいビジョン社長の佐野健一氏は、「LTEが普及していけば、Wi-Fiは海外旅行者が使うものという存在になるかもしれません。その際、設備にかかる費用や消費電力の無駄にならないよう、集客などに活用できればいいのですが」とも。
また、海外とのモバイル通信環境の違いは「プリペイドSIM」の存在が大きい。SIMフリー端末に購入したSIMを挿すことで、一定期間通話や通信ができるもの。海外出張の多い事情通によると「SIMフリーが当たり前の諸外国では、自販機でも売られているほど一般的な存在。SIMロックが基本の日本は特殊」だという。
<携帯キャリア>
NTTドコモ、au、ソフトバンクの3社は、条件付きでWi-Fi環境を無料提供している。スマホの普及により急増しているトラフィックをWi-Fi接続に回すことで、通信状況を安定させるための施策だ。回線契約者に対して提供しているもので、訪日旅行者にとっては、「どこにでもあるが使えない電波」でしかない
<Wi-Fi事業者>
事前に契約することで利用できる有料サービス。喫茶店やホテル、駅、空港など多くの場所で利用でき、任意の期間で契約できることが特徴。申し込みは、事業者によって異なり、その場でWi-Fi接続してブラウザから、コンビニにある端末からなどさまざまな方法が用意されている。BBモバイルポイント、Wi2 300などがある
<飲食店>
喫茶店などでは、無料でWi-Fi環境を提供している店舗が増えている。スターバックスコーヒーなどチェーン店独自の会員登録・ログイン方式、「FREESPOT」などのメールアドレス認証方式、SSIDとパスワードを店員に聞くか接続ガイドに従って手動で接続する方法などがある。セキュリティ上、安全性は低いが気軽に利用できる
<交通機関>
東京メトロでは試験的にアプリのインストール必須の無料サービスを、JR東日本は一部駅でメールアドレス登録のうえ時間制限付きで無料サービスを提供している。駅ではWi-Fi事業者の有料サービスも利用可能な場合が多い。都市部では訪日旅行者向けに英語での接続案内を設けていることもあり、比較的利用されやすい
― 五輪を前に考えたい「日本の公衆Wi-Fi」未整備問題【3】 ―
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