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建設現場の慢性的人手不足は深刻なインフラ崩壊を招く

アベノミクスや東京五輪の決定で、住宅・オフィスビル需要が増え、建設ラッシュに沸いているというニュースをよく聞く。しかし、一方で地方の公共事業では、入札不調が数多く起きている。その原因のひとつが、深刻な建設作業員不足だ。現場ではいったい、何が起きているのか? 末端の土建会社や作業員に徹底取材した!

◆放置すれば笹子トンネル事故のような事態が頻発!

アベノミクス, ゼネコン, 土建業界, 業界裏事情 「“失われた20年”で低迷を続けた建設業界では、新しい世代が育っていない。また、季節・有期雇用や偽装的な一人親方化が多くみられ、労働者にとっては将来性が見込めない。業界の慢性的な人手不足解消には、給与や社会保険の改善のほか、技能養成も不可欠」

 そう指摘するのは、北海学園大学経済学部准教授の川村雅則氏だ。

「現在、公共事業では入札不成立が相次いでおり、これではせっかく財政出動で公共事業を増やしても、景気浮揚策としては不十分。このままでは、公共施設の整備やインフラ維持も行えず、笹子トンネル崩落事故のような事態が頻発する恐れもある」

 今後、業界で頼みの綱とされているのが外国人労働者だ。しかし、ここにも問題がある。行政書士の中村和夫氏は、建設業界特有の事情を解説する。

「建築現場では、多くの専門業務には国家資格が必要で、外国人にできるのは単純労働しかない。ところが、単純労働では就労資格を申請できないというジレンマがある。かつては就労制限のない在留資格が与えられる、ブラジルやペルーからの日系人が建設現場の労働力を担っていましたが、リーマン・ショック後、彼らは真っ先にクビを切られてしまった。ここ数年、建設業界では、再び日系人を受け入れようという動きもありますが、過去の不信感があり、現在はなかなか人が集まらない」

 一方、外国人を建設作業員として採用する際に利用されているのが、3年に限り受け入れることができる外国人技能実習制度だ。しかし、この制度にも限界がある。

「3年間では、技術を習得してもらうのがやっと。現在、緊急措置として実習期間を5年間に延長しようという案も出ていますが、治安の悪化や失業率増加を懸念する警察庁や法務省、厚労省が反対しています」(中村氏)

 建設・土木は人間の生活や命にかかわる仕事だ。国はもっと深刻に対処する必要がある。

【中村和夫氏】
入国在留審査関連申請取次行政書士として、年間数百件の外国人雇用・採用のコンサルティング業務を手がけている。http://www.nakamura-office.biz/

【川村雅則氏】
北海学園大学経済学部准教授。NPO建設政策研究所副理事長。建設産業・公共事業に交通、福祉など、幅広い研究テーマに「足で稼ぐ」をモットーに取り組む

※写真はイメージです
取材・文/鈴木大介 奥窪優木
― [建設作業員が足りない!]の深刻度【5】 ―




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