給料は上がらないのに物価だけ上がる?

デフレ脱却を最優先課題として掲げた安倍政権。消費者物価指数などを見ると確かに物価は上昇している。しかし、狙いとは違った形で……。 ◆給料は上がらないのに円安と原発停止による電気代やガソリン代の値上がり。来年は消費税も上がる【後編】(人気ブログ「金融日記」管理人 藤沢数希氏) ⇒【前編】『アベノミクスは第一の矢だけ』はコチラ ◆消費者物価指数は上昇。しかし、その中身は?  さて、アベノミクスによって物価は上がったのだろうか? 現段階では、狙いとは違った形で多少は上がった、というものだ。消費者物価指数(CPI)は前年比で1%程度上昇している。コアCPIでは1%弱の上昇率で、これは目標の2%よりまだ低いがデフレを脱却しつつあるように見える。  問題は中身で、電気代やガソリン代の上昇が大きく寄与している。電気代は8%以上も上がった。エネルギーを輸入している日本は、円安と原発停止で化石燃料に高いコストを支払っているからだ。’14年の4月には消費税が8%に引き上げられるのに伴い、CPIは2%ほど上昇すると見込まれる。仮に本当にリフレ政策によって2%の物価上昇が起こるとするならば、消費税と合わせて4%のインフレになる。電気代と消費税で物価が上がっても、給料が上がらなければ、国民に何ひとついいことはないのだが……。 【今週の数字】 ’13年末の通貨供給量 200兆円 市中の現金と金融機関の手元資金を示す日銀当座預金残高の合計である通貨供給量の11月末残高は192兆円で、9か月連続で過去最高を更新。’13年末には200兆円超へ
消費者物価指数

'13年10月の消費者物価指数(総合)は前年同月比で1.1%上昇。コアCPIでは前年同月比0.9%上昇。コアコアCPIでは0.3%上昇。同期間に電気代は8.2%上昇している

【藤沢数希氏】 欧米の研究機関にて博士号を取得。その後、外資系投資銀行に転身。ブログ「金融日記」は月間100万PV、ツイッターのフォロワーは8万人を超える。最新刊『外資系金融の終わり』が発売中
物理学研究者、投資銀行クオンツ・トレーダー職等を経て、作家・投資家。香港在住。著書に『外資系金融の終わり』『僕は愛を証明しようと思う』『コスパで考える学歴攻略法』などがある
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