景気回復なのに株急落の「意外なシナリオ」
資料1参照>。これが意味するのは、2011年後半からの米株高は、欧州債務不安に象徴される世界的な悲観論が修正される中で起こったものである可能性ということです。
※<資料1>はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=564720
欧州CDS指数は、2010年初め、ギリシャ危機の表面化に伴う欧州債務不安が始まった水準まで戻してきました。その意味では、欧州債務不安に象徴された過剰な悲観論はほぼ是正されたようです。
これまで述べてきたように、過剰な悲観論の修正を受けた株高、円安といったリスクオン相場ということなら、悲観論が是正された後もさらに続くということになるのでしょうか。
これからは、米国を中心とした先進国の景気回復に伴う新たなリスクオン相場に向かうといった考え方は一般的に少なくなさそうです。ただ、代表的な米景気指標と米株の関係を見ると、最近の米株高は、すでにそんな米景気で説明できる範囲を大きく超えた動きになっているようです<資料2参照>。
※<資料2>はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=564722
すでに、景気で説明できる範囲を超えた株高になっているなら、それが景気回復を受けて一段と広がるということになるのでしょうか。むしろ景気で説明できない株高は、「バブル」の可能性もあるでしょうから、景気回復が進む中でも「バブル破裂」のような株安に転換する可能性はないでしょうか。
それにしても、米株は「バブル」なのでしょうか。一部報道によると、世界最大の債券ファンド、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の運用責任者で「債券王」とされるビル・グロース氏は、「前例のない規模の金融緩和で株式や債券の価格は本来の水準を超えて押し上げられているとの見方を示した」とされます。
要するに、米国で米金利低下と米株高の「双子のバブル」が発生しているといった見方になるでしょう。「債券王」グロースの見方が正しいかはともかく、確かに米株、米金利について「バブル」という見方があるということは重要ではないでしょうか。実際、米金利も米景気で説明できない異例の構図の修正がまだ途上のようです<資料3参照>。
※<資料3>はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=564723
ここまで私は、2013年に展開した株高、円安、リスクオン相場は、欧州債務不安に象徴される過剰な悲観論修正を受けた結果であり、それはほぼ終わりつつある。その一方で、米株高、米金利低下とも、米景気で説明できる範囲を超えた動きの修正はまだ途上であり、2014年はそれが本格化することにより、景気回復でも株安、円高というリスクオフに転換する可能性があるのではないかと述べてきましたが、さてどうでしょうか?(了)
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【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業。大手投資情報会社で編集長、代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
2013年は株高、円安、リスクオンと呼ばれる相場が展開しました。ではそれは2014年も続くのでしょうか。私は、2014年は景気回復が続くにもかかわらず株安、円高といったリスクオフに転換する可能性もあると考えています。
◆円安、株高「リスクオン相場」が迎える意外な顛末
そもそも2013年はなぜ、株高、円安のリスクオンになったのか。米国を中心に先進国の景気が回復に転換したためでしょうか。FRBは景気回復を受けて、超金融緩和見直しを始めました。そのうえで、景気の先行きには一段と強気な見通しを示しています。そうであれば、景気回復を受けた株高、いわゆるリスクを積極的にとっていくリスクオン相場はさらに広がるのでしょうか。
2011年後半からの米株高に、欧州の信用リスクを示す欧州CDS指数を重ねてみると、両者の軌跡は比較的よく似ています<
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