上司の頼み事を印象よく断る方法「YES、BUTが基本」
何げない一言が相手に好印象を与えたり、予想だにしなかった地雷を踏んでしまったり。げに、コミュニケーションは難しい。そこで、どんなもの言いが、お得に効果的なのかを考えてみた!
【断る・拒む】
いささか古いフレーズだが、やはり「NO」とはなかなか言えない日本人なのである。「やりたくない仕事をふられたとき『えっ、私!?』と大袈裟にアピール。すると『じゃあ、いいや』と回避できる」(38歳・女・IT)というが、心証的にも査定的にもよくはない。
「クレーム電話の応対は30分以内に切るという規則があったので対応を無理やり終わらせたら相手が逆上。その後、何度も対応するはめになった」(30歳・男・メーカー)と、手探りの人が多いよう。
断りにくい上司の頼み事や理不尽なクレーム……印象よくやり過ごすにはどうしたらいいのか?
「覚えておきたいのは『いきなり拒否しない』ということ。『いや』『だが』『しかし』という逆説の接続詞は否定される!とわかるので、相手は無意識に緊張してしまい、険悪になりかねません」(ビジネス心理研究家の神岡真司氏)
「言い訳や状況説明は、まずは後回し。『ちょっと待ってください』という言葉も危険です。落ち着いてもらおうと、つい言いがちですが相手と対決するような物言いは怒りを増長させます」(コミュニケーション・インストラクターの杉山美奈子氏)
上手な断り方・拒絶は、反論するときと共通するが、「YES、BUTが基本」(同)。
実際、あるコールセンターで働く男性(49歳)も、「『私も一ユーザーです。個人的にはわかります』など、まずは相手の言い分を引き取るのがセオリー」だと語る。
「心理学では返報性といいますが、人は自分を受け入れてくれた人を、受け入れ返さなきゃという気持ちが働くんです。クレームなどでも、相手の言い分をいったん受け入れる。すると、相手の気持ちも満たされ、今度はこちらのお願いをのんでもらいやすくなる」(神岡氏)
しかし、拒否してばかりもいられないのが会社組織なわけで。
「『ほかのことでお役に立てれば』と付け加えれば、この案件がダメなだけでありほかの仕事はできますという意思表示になり、スマートに断ることができます」(杉山氏)
<断る・拒むフレーズ辞典>
○「ほかのことでお役に立てれば」
きっぱり断ることができ、かつ嫌な印象のない上品なフレーズ。曖昧にしないことも相手のためだ
△「ちょっと待ってください」
基本的には怒らせてしまうNGワード。だが、相手がつけあがってきたときには牽制になる一言
×「いや」「でも」「しかし」
否定されることで相手を「敵」とみなしてしまうのが人間の本能なんだとか。言葉で安心させることも大事
― [得するフレーズ/損する言い方]辞典【6】 ―
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