野茂、最年少で殿堂入り。大魔神・佐々木、秋山監督も【プレーヤー部門開票結果全公開】
公益財団法人野球殿堂博物館は17日、平成26年野球殿堂入り記者発表を行い、競技者表彰プレーヤー部門で、野茂英雄氏(45歳・投手、元近鉄~ドジャースなど)、佐々木主浩氏(45歳・投手、元横浜~マリナーズ)、秋山幸二氏(51歳・元外野手、西武~ダイエー、現ソフトバンク監督)の3氏が選ばれた。
◆トルネード、米野球殿堂に「リベンジ」!?
独特のトルネード投法で日米通算201勝を挙げた野茂氏は、資格取得1年目の、45歳4か月の最年少での殿堂入り。45歳8か月で選ばれた川上哲治氏を抜いた。資格取得1年目での殿堂入りはスタルヒン氏(1960年選出)、王貞治氏(同1994年)しか例がなく、史上3人目となり、快挙づくしとなった。おりしも、9日、メジャーリーグの「ホールオブフェイム(野球殿堂)」にノミネートされながら落選した野茂氏だが、日本の野球殿堂入りが決まったことで「リベンジ」した形となった。
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野茂氏がドジャース在籍当時の球団社長、ピーター・オマリー氏が祝辞を寄せ、「あなたはまさに殿堂にふさわしい人です。初めて会った’95年から、私はあなたが一流バッターに立ち向かうプロ意識と勇気に感嘆していました。ドジャース関係者は皆、あなたを尊敬していました」とコメントした。
また、当時のドジャース監督で’97年にアメリカ野球殿堂入りしているトミー・ラソーダ氏も、「知らせを聞いて、心から嬉しく、また誇りに思います。彼は真のHall of Famerです! ’95年にドジャースにやってきたとき、私は彼を我が子のように迎い入れ、お手伝いしたのを覚えています。彼は闘志あふれる素晴らしいピッチャーで、とても思いやりのある人です。ドジャースのファンはそんな彼を愛し、ロサンゼルスと日本にNomo Maniaが誕生しました。ドジャース球団を代表して名誉ある殿堂入りを心よりお祝い申し上げます」と野茂氏を祝福した。
◆「御意見番」に大魔神もタジタジ!?
また野茂氏と同期のドラフトでプロ入り、45歳10か月の史上3番目の若さで殿堂入りとなった佐々木主浩氏は、野茂氏と同じく日米で活躍した選手で初の殿堂入りとなった。佐々木氏は「今は体がデカいが、小さいころは体の弱さを克服するために初めた野球で、まさかこのような賞が頂けるとは思いませんでした。両親はすでに亡くなってしまいましたが、丈夫な体に産んでくれた両親に感謝しています。近々墓前に素晴らしい賞を頂いたと報告したい」と謝辞を述べた。
1988年に殿堂入りした「球界の御意見番」金田正一氏が佐々木氏に祝辞を送り、「最短年齢で入ったのは素晴らしいが、本当は私が最短年齢で入るはずだった。私は私生活が乱れていたから時間がかかった」と会場を沸かせつつ、ロッテの監督時代には仙台のロッテの子供応援団に入っていた幼稚園時代の佐々木主浩氏と握手をしていたという逸話も披露。きわめつけは、大洋時代の佐々木氏と谷繁(元信=現中日監督兼選手)とハワイでバッタリ会った時、ビーチサンダルでぶらぶらしている2人を目撃し、「ケガしたらどうするんだ!靴を履け! ケガをしたら殿堂や名球会に入れないぞ」と優しく諭したという”濃いエピソード”で佐々木氏を恐縮させていた。
◆「秋山はFAがあればメジャーだった」
現役監督では鶴岡一人氏、川上哲治氏、落合博満氏についで殿堂入りとなった、秋山幸二氏「(選手生活の)22年間がむしゃらにやってきました。ファンや家族や関係者、私を支えてくれた多くの人に感謝したい。今はソフトバンク・ホークスの監督をしているが、まだまだ野球界に貢献していきたいと思います」と挨拶した。
また西武の黄金時代を創ったチームメートであり、2010年に殿堂入りした東尾修氏が「“センター・秋山”のイメージだが、彼が1年目の阪神との日本シリーズの時は“サード・秋山”だった。全盛期には本塁打と盗塁王を獲るほどの素晴らしい選手。もしFAがあったら当時、最もメジャーに近い選手だった」と秋山氏に祝辞を送った。
◎野球殿堂とは……日本の野球の発展に大きな貢献した方々の功績を永久に讃え、顕彰するために1959年に創設された。現役引退後5年以上経過した人で候補入りしてから15年間が選考対象となるプレーヤー表彰と、現役以外の監督やコーチ、または選手引退後21年以上経過した人が対象となるエキスパート表彰に分けて表彰される。野球体育博物館内の殿堂ホールには殿堂入りのレリーフ(ブロンズ製胸像額)が掲額されている。
【第54回プレーヤー部門の開票結果は以下の通り】
有効投票数=324 当選必要数=243(有効投票の75%)
野茂英雄 267票(82.4%=得票率)
秋山幸二 257票(79.3%)
佐々木主浩 255票(78.7%)
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原 辰徳 196票(60.5%)※
古田敦也 165票(50.9)
斎藤雅樹 149票(46.0)
清原和博 69票(21.3)
大島康徳 60票(18.5)
岡田彰布 49票(15.1)
篠塚和典 36票(11.1)
西本 聖 36票(11.1)
伊東 勤 33票(10.2)
桑田真澄 33票(10.2)
佐藤義則 32票(9.9)
郭 源治 30票(9.3)
川相昌弘 29票(9.0)
石毛宏典 19票(5.9)
佐々岡真司 15票(4.6)
野村謙二郎 13票(4.0)
松永浩美 10票(3.1)
西村徳文 7票(2.2)
鈴木尚典 1票(0.3)
投票は野球取材15年以上の経験を持つ記者が、表彰委員会がノミネートした22人の候補者のなかから最大7人までを連記。75%(243票)以上を獲得した候補者が殿堂入りとなる。
※資格者の条件は現役引退後5年~21年。原氏は来年が最終年にあたる。
<取材・文・撮影/遠藤修哉>
記者発表には佐々木主浩氏、秋山幸二氏が出席。野茂氏は自身が主催するNOMOベースボールクラブの少年野球大会の準備のため欠席した。
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