高齢者をカモに…エンディング・サポートを騙る業者の実態
振り込め詐欺から悪徳商法まで、あらゆる裏稼業が「資産を持った高齢者」にターゲットを絞るなか、そのビジネスを支える「名簿屋」が特殊な進化を始めたという。
「いまだに悪徳訪販のヤラレ名簿(被害者名簿)をベースにしているところもあるけど、今はとにかく積極的に新規の名簿を開発するほうがアツい。打率3割以下の名簿はクソ名簿って時代。詐欺の一番名簿(完全に未使用の名簿)なら、100名規模で初回に保証で100万円+成功報酬の10%で販売する交渉もできる。過去の蓄積を重視してきた古い名簿屋は、もはや駄目だね」
こう語るのは、自称「ネオ名簿屋」のT氏だ。「昨今の詐欺の客単価(=平均被害額)は300万」というT氏の言葉を信じれば、100名の名簿で3割打率ならば詐欺組織の売り上げは9000万円。名簿屋の報酬は保証100万円+900万円で1000万ということになるが、本当なのか?
「3年ほど前から、無作為で集めた高齢者に国勢調査を装った『カタリ調査』の電話をかけて、属性調査(資産額や居住形態、子供や孫の住所や勤務先、認知症の有無を聞き出す)をした名簿が詐欺屋の中で大きな収益あげていて、そこから一気に進化した。今は通称『エンディング・サポート』を入り口にしてる。これ、適当に社団法人とか立てて、高齢者の相談に乗る形をとって情報収集するというやり口。相続相談・資産運用管理・介護施設への入居サポート・自宅のバリアフリーから、高齢者向けの詐欺から身を守るためのノウハウを、税理士・行政書士・司法書士を交えた専門集団が総合コンサルティングしてあげますよ、という事業。ただし完全に羊の皮を被った狼で、相談していく過程で、完璧な属性調査ができてしまうというワケ。ここまでいくと、個人情報は丸裸になってしまっていると言っていい」
事実、エンディング・サポートを信用してしまい、資産状況や家族構成をすべてさらけ出してしまう高齢者は続出中。司法書士だと思って相談した相手がまさか詐欺グループの一味とは、夢にも思わないはずだ。これで「騙される方も悪い」というのはあまりに酷過ぎる。
「実際に電話をかけるプレイヤーや出し子、受け子と違って、問われる罪の種類が違う名簿屋は脱サラ組とも相性がいいですよ」
とT氏は語るが、高齢者の金融資産を食い物にする仕事など許されていいはずがない。“敵”は我々が思う以上に狡猾で、すぐそばに存在する。せめてその現状だけでも周知徹底したい。1/28発売の週刊SPA!では「ブラック稼業の給与明細」という特集を組んでいる。名簿屋ビジネスはじめ、投資詐欺、金主など一線を超えた男たちの稼ぎの実態に迫った。ぜひご一読いただきたい。 <取材・文/週刊SPA!編集部>
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